せと川柳の会は毎月一回瀬戸公民館で例会を開催。講師は、H21年9月より従野健一先生に交代しました。
また、今回から選者は、講師と会員が交代で行うことになりました。会員の川柳をご覧ください。
課 題 | 入 選 | 句 の 内 容 | 作 者 |
![]() ![]() 2014.5.15(木) 今日の例会は瀬戸公園のステージで遅ればせの花見・・・ならぬ葉桜見でした。 春の慈雨と美味しいお弁当をいただきながら話に大輪の花が咲きました。 |
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2014.5.15 課題「連休」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
北国の春連休も雪を掻く 連休とはどこ吹く風ぞ鍬振るう おしゃれして連休の波に乗り 通勤電車連休疲れ詰め込んで 夫とは違う時計で三連休 連休の最後は欠伸でしめました 連休の出会いで咲いた赤いバラ 連休のドラマ始まる始発駅 連休の谷間ですこし逸れてみる |
文巳枝 正 子 初 恵 礼 子 正 子 冨喜子 敏 英 子 健 一 |
2014.5.15 課題「風呂敷」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
風呂敷のほころび機密漏れている 風呂敷に意を詰め母の固結び 風呂敷に愚痴も包んだ一人旅 風呂敷も粋なマフラーに早変わり 大風呂敷広げ居酒屋春の宵 母来たる唐草模様ばら寿司か 紋入りの風呂敷蔵で大欠伸 風呂敷に包んだ愛はまだ温い 教え今大風呂敷と言う誉れ |
文巳枝 正 子 敏 冨喜子 英 子 風来坊 冨喜子 英 子 清 泉 |
2014.5.15 席題「曲がり角」 互選 |
5点句 7点句 |
心まで病むなと風の曲がり角 曲がり角あるから先に夢もある 弱腰の背をポンと押す曲がり角 小さな夢ひとつ拾った曲がり角 曲がり角ひとりふたりと減る仲間 ときめきも不安も知った曲がり角 |
宅 栄 初 恵 宅 栄 英 子 健 一 正 子 |
2014.4.17 課題「雨」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
雨降って二人の愛が潤った 雨降って地固まった夫婦愛 未練など流せとばかり雨しとど 引く術を教えてくれた亡母の雨 落ち椿有情無情の雨しとど 気まぐれな雨が流した涙雨 やらずの雨むかし話はまだ続く 一雨毎に春の音符がはずむ庭 雨の日は雨の足音で踊ってる |
礼 子 久仁子 英 子 宅 栄 正 子 初 恵 英 子 冨喜子 健 一 |
2014.4.17 課題「天罰」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
妻からの天罰皿に盛ってある 天罰じゃと笑った父の胸の奥 天罰か刺さったまんまの胸のトゲ 切歯扼腕天罰無縁天の声 人類の奢りが招く天の罰 天罰か原発重い荷を背負う 良心に天罰だったのかと問う 天罰の釘が一本胸で生き 天罰に時々心入れ替える |
宅 栄 英 子 敏 清 泉 敏 英 子 礼 子 宅 栄 初 恵 |
2014.4.17 席題「味噌汁」 互選 |
4点句 5点句 7点句 |
味噌汁へ母の一滴かくし味 味噌汁と共にのみこむ妻の愚痴 湯を注ぐだけの味噌汁妻の乱 キヌサヤの今朝の味噌汁春を呼ぶ あつあつのみそ汁今日の幸を呼ぶ |
健 一 操 陽 礼 子 正 子 礼 子 |
2014.3.20 課題「窓」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
冬の月窓越し寒さ連れてくる 出窓からジャンプ夢見る雨蛙 明日へ向く扉へ過去の窓を閉め 負け犬の目が見上げている窓の外 心の窓開ければ見える青い空 春の窓全開青い鳥を呼ぶ 窓の陽がゆっくり至福のときをくれ 窓わくの小さな空に明日を描く 内緒ばなしが飛びこんでくる小さな窓 |
敏 宅 栄 宅 栄 文巳枝 礼 子 正 子 初 恵 礼 子 健 一 |
2014.3.20 課題「噂」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
春の噂は膨らむことに慣れている ママ友が寄れば噂の花が咲き 病院のはしごについて来る噂 回覧板ついでに噂も廻しとこ 噂ばなしはずっと噂でいてほしい 犬かきでも噂の川を泳ぎ切る 老いらくの恋の噂は遠出する 風に乗り噂はいつか雪だるま 素にもどり噂に小首傾げてる |
風来坊 敏 初 恵 冨喜子 健 一 宅 栄 英 子 礼 子 正 子 |
2014.3.20 席題「罠」 互 選 |
4点句 5点句 7点句 |
情のある老いの心を狙う罠 人生の油断が罠にひっかかり ワイングラスの底に女が溜める罠 この笑顔罠とは知らず有頂天 罠だった心に鍵をかけたのに 赤いバラ罠と知りつつつい手折る 饒舌の舌が罠への紐を編む |
英 子 初 恵 健 一 冨喜子 冨喜子 久仁子 正 子 |
2014.3.16(日)第12回赤磐川柳大会 隔年で開催されている赤磐川柳大会が赤磐市立中央図書館で開催されました。 会員が減少したもの、中高生が川柳パフォーマンスを見せてくれるなど新風も吹き充実した大会となりました。 特選句をご紹介します。 |
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課題「金持ち」 岩藤 孔明 選 課題「ひな祭り」 中村 哲郎 選 課題「記憶」 長森 正子 選 課題「情」 長谷川至外余 選 席題「震える」 沖 百合子 選 |
人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 |
どん底を見た金持ちのしぶとさよ 金持ちも閻魔の前じゃ無一文 金持ちになって心の友が消え 撮影にひな段バック家族寄る おひな様ひと役買って町起こし 復興の雛へ陽射しを惜しまない 断りもなく旅に出る我が記憶 苦労した記憶は今日の幸が消す 柩まで遠い記憶の消えぬ悔い 激情を抑えに野風来て座る 情のある男になれと父の酌 人情の匂い残したまま空き家 そのダイヤ買うなと財布震えてる 震える手君にあずけて五十年 生きるぞと心震わす呱々の声 |
吉崎 初恵 長船 克己 岡本 淳子 村木 邦子 本徳 頼子 塩見 宅栄 沖 百合子 岡本 淳子 岩藤 孔明 塩見 宅栄 長船 克己 谷井妣椰子 岡本 淳子 久山 和子 樅野 志郎 |
2014.2.20 課題「耕す」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
耕した人生に咲く花の彩 耕して耕し明日の扉開け 耕したあとに蛙のねぼけ顔 耕せば固まった脳動き出す 野人なり晴耕雨睡山が友 晩学の脳を耕す趣味一つ 耕して脳細胞に風入れる 耕した土に答えは置いてある 耕した畑静かに風を待つ |
初 恵 宅 栄 敏 英 子 正 子 冨喜子 礼 子 宅 栄 健 一 |
2014.2.20 課題「天井」 久仁子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
天井を突く声寒の豆剣士 見上げれば神の手お在す天井画 古天井家族の苦楽にいぶされる 翼持つ夢が膨らむ青天井 天井が近いかやたら買いたがる 青天井老いのハートを解き放つ 初競りだ天井値だと初鮪 天井のしみに我が家の歴史見る 古天井今日もねずみの運動会 |
宅 栄 英 子 礼 子 宅 栄 健 一 英 子 正 子 冨喜子 久仁子 |
2014.2.20 席題「手帳」 互 選 |
5点句 6点句 8点句 |
分身の手帳に再起の文字が見え 亡き母の手垢の手帳に励まされ 捨てた句が手帳の中で起き上がる 意気込んで買った手帳がまた欠伸 |
宅 栄 冨喜子 冨喜子 英 子 |
2014.1.16 課題「人形」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
人形の瞳に邪心見抜かれる 土砂降りに為す術知らず木偶の坊 マネキンが脱皮明日の彩を着る 酒蔵で利き酒してる姫人形 みちのくは雪かこけしの泣きぼくろ 人形になってあなたを待ってみる 作業服のマリオネットにある大志 糸プツリあやつり人形の反乱 人形が喋ると家の和が乱れ |
英 子 正 子 宅 栄 義 忠 英 子 初 恵 宅 栄 正 子 健 一 |
2014.1.16 課題「鐘」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
見上げれば半鐘古里あたたかい 夕焼け小焼けノスタルジーの寺の鐘 葬送の鐘に遺徳の手を合わせ 鐘を打つ重ねた手と手愛深く ウエディング幸せの彩空を舞い 高らかに五輪の夢へ鳴らす鐘 迷走の匂い警鐘乱打する 右ひだり思想が交る寺の鐘 長考の潮時告げる寺の鐘 |
清 泉 英 子 風来坊 久仁子 初 恵 英 子 正 子 健 一 宅 栄 |
2014.1.16 席題「似る」 互 選 |
5点句 6点句 9点句 |
母さん似と云われ小言も一休み 還暦の手鏡見れば亡母の顔 金婚式似合いの夫婦になっている 父に似て後には引かぬ山登り |
冨喜子 宅 栄 操 健 一 |
2013.12.19 課題「平和」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
引揚船あの日が遠くなる平和 底辺の暮らしに満ちている平和 満月を眺めつ平和な酒を呑む 肥沃度で眠る芋虫平和ボケ 許し合う窓へ平和な風が来る 心の灯いつもともして平和です 欲削り削って平和な風の中 蛇口全開平和の音が流れ出す ポケットの中で平和な拳です |
文巳枝 壽 子 操 正 子 英 子 冨喜子 正 子 宅 栄 健 一 |
2013.12.19 課題「器」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
食べ終えて器が温い嫁の粥 過疎という皿に雄飛の誓い描く 捨てきれぬ愛を器にとじ込める 無印の器無限の夢がある 夢を盛る器の絵柄燃えている ときめきを絵皿に溶いて明日を描く 愛いっぱい器に盛った妻の味 差し向かう茶碗阿吽の息遣い 年金の器に老後の夢を盛る |
宅 栄 宅 栄 健 一 英 子 正 子 英 子 敏 正 子 健 一 |
2013.12.19 席題「箸」 互 選 |
5点句 6点句 7点句 |
睦まじい食卓箸が踊ってる わがままな話をつつく左箸 おふくろの菜箸里の四季を盛り 母の味ふるさと恋しと箸弾む |
冨喜子 健 一 宅 栄 冨喜子 |
2013.11.21 課題「消しゴム」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
消しゴムがいくつあっても足りぬ過去 消しゴムで消したい過去の悪い夢 消しゴムで君の 名消して恋終わる 消しゴムで消しても浮き出る愛の瞬間 消しゴムの下で再起の文字が燃え ポケットの中で消しゴム出番待つ 消しゴムは要らぬ夫婦の二楽章 消しゴムで消してきれいに幕を引く 消しゴムで消しても消えぬ青い空 |
初 恵 敏 英 子 操 宅 栄 初 恵 宅 栄 冨喜子 健 一 |
2013.11.21 課題「流れる」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
寝ころんで流れる雲に明日を問う 苦労ひとつ流せばひとつ太くなる 聞き流すコツを覚えた丸い背な 流浪した種ふる里へひげ根出す 秋夜長流した過去が裳裾引く 人も水も流れる程に澄んでくる 亡母の思慕流れる雲に乗せきれぬ 流れ雲に恋の行方を聞いてみる 格差など気にしません流れ雲 |
壽 子 健 一 風来坊 宅 栄 正 子 久仁子 正 子 健 一 英 子 |
2013.11.21 席題「トンボ」 互 選 |
4点句 5点句 6点句 |
開発でトンボと歩いた道がない 秋空にとんぼ飛び交い宇宙ショー ふる里へ夢を探しに来たトンボ リハビリの杖を励ます赤とんぼ 親と子の竿へトンボの応援歌 亡き兄の墓標にそっと赤トンボ |
正 子 健 一 正 子 英 子 宅 栄 風来坊 |
2013.10.24 課題「夢」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
八十路坂夢を描いて夢に酔う 夢の中夫も私も良く笑い 夢色のワインが愛を誓わせる 夢にみたふるさとこいし柿の種 折れそうな心に風をくれた夢 夢いくつ捨ててひっそり母子草 大丈夫夢の欠片はまだ光る お陽様へ干した軍手が夢広げ 人形に遊ばれている夢の中 |
冨喜子 初 恵 宅 栄 義 忠 礼 子 風来坊 正 子 宅 栄 健 一 |
2013.10.24 課題「描く」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
健やかな老後描いて今日を生き 夕映えの空に描いた雲のショー 今日を描く汗を流して鍬をふり 秋空を描くには青が多く要る わくわくと明日の彩待つ風を待つ 人生の余白気ままな色で描く 自画像を消しては描きまだ未完 水色を足せばせせらぐ心象図 五輪入れ未来図描いている八十路 |
冨喜子 敏 郷 子 健 一 初 恵 英 子 正 子 宅 栄 礼 子 |
2013.10.24 席題「夏バテ」 互 選 |
5点句 6点句 7点句 |
夏バテなど無いひまわりのような母 夏バテも生きてる証秋刀魚焼く あの猛暑過ぎて夏バテ置きみやげ |
宅栄 礼子 礼子 |
2013.9.19 課題「時計」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ダイエット決心揺らす腹時計 鳩時計平和な音で刻を告げ ひまわりの海が二人の時を止め 古時計たたいて今日のネジをまく 真夜中の秒針命追いにくる 砂時計スローライフで落ちて行く 遥かなる時を刻んで流れ星 眼鏡時計はずし無題の日を畳む 旅の宿時計の針に急かされる |
郷 子 文巳枝 宅 栄 冨喜子 正 子 初 恵 敏 正 子 健 一 |
2013.9.19 課題「信号」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
閻魔さま来いと言っても赤信号 窓を打つ合図に弾む恋つばめ 検診は青おいしいビール又飲める 信号は青老春前へまっしぐら 信号音指示され私ロボット化 バッテリーの信号決まる甲子園 ふる里に心を決める信号機 豊かさの中で信号見失う ランドセル守る地域の手信号 |
風来坊 敏 初 恵 清 泉 正 子 英 子 礼 子 健 一 宅 栄 |
2013.9.19 席題「辞書」 互 選 |
5点句 6点句 7点句 |
青い空まだ夢もある辞書もある 辞書にない心の文字のラブレター 不可能を可能に変えた乳の辞書 |
健 一 初 恵 健 一 |
2013.8.29 課題「覆す」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
耳打ちが会議の進行覆す やみくもに覆したら鬼が出た 覆し見せた仮面の下の顔 札束が動いて白が覆る 培養液に革命起こす種一つ 母の声固い砦を覆す 軽い嘘覆されても空は青 覆す野心などない細い葦 子の痛み母さんそっと覆す |
初 恵 正 子 敏 冨喜子 宅 栄 久仁子 冨喜子 正 子 健 一 |
2013.8.29 課題「握り飯」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
こっそりと狸が狙う握り飯 握り飯大好き嫁と昼弁当 「幸せかーい」谺と食べる握り飯 お袋さんそんな響きの握り飯 頂きの鼓動聴いてる握り飯 鎮座する握り飯にもある主張 太陽といっしょに頬張る握り飯 握り飯青田の風が来て座る 握り飯たくあん三切れ頬落ちる |
健 一 初 恵 正 子 風来坊 宅 栄 正 子 礼 子 宅 栄 清 泉 |
2013.8.29 席題「色気」 互 選 |
4点句 5点句 |
白い指でワイングラスを持つ色気 白百合の色気に惑う花鋏 控えめな所作からにじみ出る色気 時々は色気も要ると母の辞書 |
健 一 宅 栄 礼 子 宅 栄 |
2013.7.18 課題「歩く」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
炎天下リズムが狂う万歩計 菖蒲園牛歩で愛でつ友と行く 歩のリズム変えれば違う景色見え 紫陽花と笑顔を交わす散歩道 今を歩く花鳥風月みな提げて 夕焼けを背負って歩く野良帰り やっと立ちよちよち歩き抱く無限 夢あらた踏み出す一歩風が押す ゆっくりと歩けばゆっくり見えてくる |
初 恵 郷 子 宅 栄 英 子 正 子 冨喜子 正 子 英 子 健 一 |
2013.7.18 課題「絵の具」 義忠 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ふる里を描く絵の具は褪せぬまま 絵の具から虹に仕上げる筆づかい 完璧のあなたを絵の具で塗りかえる バラが好き決まって選ぶ赤絵の具 紫陽花の色に苦闘の絵の具皿 故郷を描く緑ばかりが減る絵の具 母さんの絵の具は赤が多すぎる 子の絵の具出せない色はありません 水絵の具命の色を映してる |
宅 栄 文巳枝 冨喜子 風来坊 礼 子 礼 子 健 一 久仁子 義 忠 |
2013.7.18 席題「膝」 互 選 |
5点句 6点句 |
負け戦涙で濡れた膝を抱く 座禅する膝から吐いている弱音 七重八重折った膝にもある懺悔 母さんの膝が一番あたたかい 昭和史を駆け抜けて来た膝頭 |
正 子 宅 栄 正 子 健 一 冨喜子 |
2013.6.20 課題「待つ」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
待つ事も待たせる事もない一人 返信を待ってるポストの赤い顔 初デートじれて待つ夜の雲の月 風鈴のようにいい風待つ私 まわり道バラ一輪が待つ小径 待つこともプラス思考の花の路地 待ちぼうけドラマ始まる雨の駅 吉報の鈴音待つは鬱の午後 こだわりを捨ててあなたを待つ夕餉 |
冨喜子 文巳枝 敏 礼 子 初 恵 宅 栄 英 子 正 子 健 一 |
2013.6.20 課題「孤独」 敏 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
孤独ならしゃべりに来いと山みどり 蓋をする孤独に水を差す訃報 老い独りふと目覚めれば目に涙 雨しとど孤独の窓に雨蛙 二の膳にどこか孤独な隙間風 孤独感春の陽気にとけていく 病む老いの孤独を煽る春嵐 無人駅孤独を連れて立つ男 のんびりと孤独を伴の旅がらす |
宅 栄 正 子 風来坊 礼 子 初 恵 礼 子 文巳枝 英 子 敏 |
2013.6.20 席題「鏡」 互 選 |
4点句 6点句 |
時々は世辞も欲しいよ夏鏡 水鏡ゆっくり揺らすアメンボウ 真実は俺の鏡が知っている あれこれと夢は自由に万華鏡 |
正 子 久仁子 義 忠 礼 子 |
2013.5.23 課題「覚悟」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ご破算を覚悟の人生悔いはない この山を越える覚悟の時は今 正座して手術の朝の髪を梳く 貧しさも覚悟の上か赤い糸 大海へ覚悟の船出青い風 少年の秘めた覚悟へ舞う桜 鍋敷にはならぬ覚悟の始発駅 疑われる程の覚悟よ綿毛舞う 覚悟したふたりに青い空がある |
冨喜子 礼 子 昭 和 文巳枝 初 恵 英 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2013.5.23 課題「下積み」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
下積みの重みも今はなつかしい 下積みを軽く見過ぎて荷がくずれ 暖簾分け下積み時代実を結び 下積みの夢が落ちてる裏通り 下積みの長さに耐えて蝉しぐれ 賑やかに下積み同士春を酌む 下積みの明日へと続く虹の橋 下積みの苦労を結ぶ赤い糸 下積みの根性いつか横綱に |
久仁子 礼 子 文巳枝 英 子 健 一 英 子 礼 子 健 一 初 恵 |
2013.5.23 席題「背中」 互 選 |
4点句 9点句 |
背を向けた風にじっくり諭される 発車ベル母の丸い背遠ざかる 少しずつ夢が発酵する背中 背を向けてはならぬ男の勝負どき |
健 一 正 子 宅 栄 健 一 |
第9回赤磐誌上川柳大会 入選作品集より (H25年4月発行) 隔年に行われている誌上大会の作品が発表されましたのでご覧くださいませ。 |
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課題「 つかの間」 長森 正子 選 課題「笛」 沖 百合子 選 課題「お手伝い」 中村 哲郎 選 課題「指」 岩藤 孔明 選 ジュニアの部 課題「人形」 森定 三竿 選 |
人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 人 位 地 位 天 位 |
つかの間を涙でつなぐ発車ベル つかの間の逢瀬楽しむ恋蛍 水泡に帰すとも悔いのない一手 笛の音に誘い出されて秋祭り 笛吹けど今は踊らぬ古女房 復興の地へゆっくりと鳶の笛 お手伝い流れる汗に風のキス 窓拭きの手伝い母と風に乗り 三才のあんよがお皿はこびたい カラットが私の指をみて笑う ほころびを繋ぎ合わせる妻の指 無限大の夢握りしめて産声 この部屋でわたしを見ているお人形 人形は小さい頃から家族だよ 健やかな成長見守る雛人形 |
岡本 淳子 羽室 敏 塩見 宅栄 小野 房子 平島 始子 谷井妣椰子 長森 正子 塩見 宅栄 久山 和子 富山 孝 久山 和子 津島 礼子 羽田 和佳 山崎 美里 大槻 真澄 |
2013.4.18 課題「拾う」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
早春の息吹を拾う父の鍬 ゴミ少し拾って今日の散歩道 春の風ドラマを拾うめぐり逢い 野の声を五感で拾う春の道 最後の最後で拾った君という宝 補聴器で拾った音は皆平和 もう何も拾うものない冬木立 一期一会ときめき拾う春の風 春風に乗って拾うている息吹 |
宅 栄 文巳枝 英 子 礼 子 宅 栄 冨喜子 正 子 初 恵 健 一 |
2013.4.18 課題「核心」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
核心にせまる女のするどい目 まっすぐに歩いて核心確かめる 核心に触れるとひらり蝶になる 核心は伏せて気楽な風になる 核心に触れずにひらりと散った薔薇 三世代の核に白寿の笑い皺 核心に触れるとみんな逃げてゆく けじめつけさて核心に迫り来る 核心に届かぬママのゴム鉄砲 |
初 恵 健 一 宅 栄 初 恵 英 子 宅 栄 健 一 冨喜子 正 子 |
2013.4.18 席題「指」 互 選 |
3点句 5点句 |
子の帰省指折り数え待つ長さ バレリーナのようにピアノを滑る指 指先に春の陽乗せて弾くワルツ 遠い日の指切りちぎれ雲になり 指切りをしたのは春の風と蝶 ロボットの指が介護する未来 大家族の荷崩れ直す母の指 折り鶴の指千回の祈り込め |
久仁子 英 子 宅 栄 初 恵 健 一 英 子 宅 栄 正 子 |
2013.3.28 課題「試す」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
試運転効かぬ人生ひた走り 女心微妙に揺する試着室 ぬるい茶が試し合ってる言葉尻 お試しの期間長すぎ恋終わる 深呼吸心の鍵を試したい 何いろに染まろか春の試着室 赴任地の桜の下にある踏み絵 もうすぐ春只今恋の試し鳴き 試されたと思う母さん二枚舌 |
初 恵 正 子 宅 栄 礼 子 冨喜子 英 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2013.3.28 課題「プライド」 久仁子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
生き上手プライド胸の奥深く ぶどう棚プライド吊るして袋掛け プライドの円周上にいる天狗 プライドがあるから光放つ石 プライドもなくて仲良く貨物の列 プライドを秘めてはんなり寒牡丹 プライドで頂点守ったお家芸 プライドを少し残して老いを生き プライドが邪魔して輪からはみ出した |
清 泉 冨喜子 正 子 宅 栄 健 一 英 子 義 忠 礼 子 久仁子 |
2013.3.28 席題「輝く」 互 選 |
4点句 7点句 |
お日様が春耕の母輝かせ まっすぐに空へ二十歳のしゃぼん玉 輝いていたのは僕の尻尾だけ 末席で夢のひとつを輝かす |
宅 栄 宅 栄 健 一 正 子 |
2013.2.21 課題「雪」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
白い月雪像照らす凍てつく夜 雪しとどいろりに民話降り積もる ぼたん雪とけてポストにいい便り 雪に泣き雪に喜ぶ冬模様 根雪溶け春を縫い込む母の針 雪つもる堆肥の山に湯気が立つ 雪囲い息を潜める冬牡丹 熱唱の舞台へ紙の雪が舞う ドカ雪に屋根も私も耐えている |
初 恵 宅 栄 英 子 礼 子 宅 栄 昭 和 正 子 英 子 健 一 |
2013.2.21 課題「やけど」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
やけどする覚悟火中の栗拾う 火を踏んだ靴が大地をしかと蹴る 火傷せぬ内に心に鍵をかけ 火に油注ぎ惨めな大やけど 愛の火をつついたばかりに大やけど 火傷した心良風が撫でてくれ やけど痕繕う母の返し針 ケロイドの鎮魂平和へ鐘鳴らす あの一言云ったばかりに大やけど |
文巳枝 宅 栄 礼 子 文巳枝 健 一 英 子 宅 栄 正 子 冨喜子 |
2013.2.21 席題「飛ぶ」 互選 |
4点句 5点句 |
飛んで見たい私に似合う羽がない 着地点どこかと種は風の中 鎮魂の祈りを込めてシャボン玉 水溜まり飛べて見上げる上げる青い空 日暮れ道小石を飛ばす妻の乱 飛び越えたい山を見つけて傘寿燃え 五欲捨て身軽になって巳年飛ぶ 残り火に恋の春風とんでくる |
冨喜子 宅 栄 英 子 健 一 健 一 礼 子 礼 子 初 恵 |
2013.1.17 課題「福の神」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
福の神知らぬ顔して通りすぎ 正直な頭に福が舞いこんだ 福の神隣の家が好きらしい まだ夢があります福の神よ来い 福の神やって来たのか風が生き 心の窓開けて見つけた福の神 念力に乗ってはくれぬ福の神 踏切板の下で背を押す福の神 福の神胸のポッケに入れてある |
敏 冨喜子 久仁子 英 子 宅 栄 礼 子 正 子 宅 栄 健 一 |
2013.1.17 課題「屋根」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
茅ぶき屋根の郷愁世代の顔が浮く 大屋根が苦楽のドラマ抱え込む 屋根裏にヘソクリがあるまだ余裕 傾いた屋根に大判小判ある 屋根裏で風を待ってる守り神 ふるさとの屋根で命をあたためる 雨もりを直して父権取り戻す 屋根裏の大志ゆっくり風に乗り 暮れなずむ屋根にそれぞれある絆 |
文巳枝 礼 子 健 一 操 健 一 冨喜子 礼 子 宅 栄 英 子 |
2013.1.17 席題「皿」 互選 |
4点句 5点句 |
私の夢飾りの皿に盛ってみる わだかまり一緒に盛った皿の上 年金の暮らしにあった皿の数 皿の数だんだん減らす古女房 里の味てんこ盛りして母は待つ どんな夢描く少年の白い皿 煮くずれた料理も皿で生きかえり |
正 子 冨喜子 冨喜子 礼 子 正 子 宅 栄 冨喜子 |
2012.12.20 課題「怖い」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
朝がえり玄関開けりゃ怖い顔 極楽か地獄かやがて行くあの世 思い切り咲いて怖さを吹き飛ばす 地震台風怖い天災泣く地球 酔う程に怖い親父の仮面ずれ 後ろから毒矢が飛んで来ようとは 団結の紐がほどけている死角 古井戸に怖い話がひそんでる 降りつもる雪がしだいに怖くなる |
敏 英 子 冨喜子 礼 子 初 恵 正 子 宅 栄 初 恵 健 一 |
2012.12.20 課題「追う」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
鰯雲八十路見果てぬ夢を追う 浮雲を追えば笑顔の母に会う 切れた凧追えば未練の風が吹く 追いかける惚けを逃れて趣味の道 トンボ追う親子へ夕陽温かい 四季の彩追いかけ画布と旅に出る 無に還り四季折々の花を追う 真実を追えば広がる冬の地図 追う夢が生命線に油差す |
英 子 健 一 敏 冨喜子 宅 栄 初 恵 正 子 宅 栄 礼 子 |
2012.12.20 席題「満月」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
満月が庭へ家族を呼んでくれ 満月を愛でて酒酌むいい夫婦 満月と一緒に入る露天風呂 満月に送ってもらう千鳥足 |
宅栄 英子 礼子 初恵 |
2012.11.22 課題「負ける」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
盤上の隅でリベンジ誓う石 悔しいが負けを認めて爪を研ぐ 負けてから海も心も凪いでいる 負けて勝つ悔し涙は宝物 敗北の悔しさ投げる秋の月 白旗を上げても尾を引く妻の乱 八起目の音が残響から聴こえ 耐えること負けて覚えた仏の座 負けてやることも覚えた太っ腹 |
宅 栄 礼 子 宅 栄 正 子 英 子 礼 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2012.11.22 課題「褒める」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
育つ子をやる気にさせる褒め上手 ほめ言葉明日への捻子を巻いている さりげなく褒めてほめられいい仲間 褒めてやる言葉を秋の野で捜す 褒め言葉やさしい風で包み込む 健闘を褒める拍手が鳴りやまず 褒められてピノキオの鼻の戸惑い 少年が大きく伸びる褒め言葉 お日様は舞台裏へもほめ言葉 |
英 子 礼 子 英 子 健 一 初 恵 文巳枝 正 子 健 一 宅 栄 |
2012.11.22 席題「踏む」 互選 |
5点句 6点句 |
地団太を踏んで泣く子に赤トンボ 悲しみを踏み越え四季の花は咲く 踏まないで春になったら咲くつもり 自分流に生きると決めて大地踏む |
正 子 冨喜子 冨喜子 冨喜子 |
2012.10.18 課題「暮れる」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
晩婚へ派手な暮らしの過去を捨て それぞれの自然の音で日は暮れる ネットカフェ暮れる若者冬の空 靴全部揃って母の今日が暮れ 義理一つ果たして帰る日暮れ道 暮れてゆく夢のかけらを抱いたまま 出直しを誓う暮色が温かい 残照の小路で歩幅整える まだ夢を捨て切れないで今日も暮れ |
文巳枝 冨喜子 初 恵 宅 栄 正 子 英 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2012.10.18 課題「越す」 久仁子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
越されても亀はひたすらマイペース 尺取り虫ひと枝ずつの夢を越え 秋の味覚艶も出ました猛暑越え 不器用な私に越せる坂はない 山一つ越えたら又も山が見え 秋の風声かけてくるガラス越し 幾山河越えたドラマの襞を読む いつかいつか父を越えたい瞳は光る 子に越され孫にも越され円くなる |
正 子 宅 栄 初 恵 健 一 正 子 英 子 文巳枝 正 子 久仁子 |
2012.10.18 席題「沈黙」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
トンネルを出ても沈黙まだ続く 老い二人沈黙ほぐす熱いお茶 車座で沈黙破る咳払い 沈黙が次の一手の間を計る 沈黙の背なが許すと言っている |
健 一 英 子 正 子 初 恵 宅 栄 |
2012.9.20 課題「敵」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
今日の敵踏み台にして明日へ翔ぶ 敵の矢をうまく交わして爪を磨ぐ メダルとる横のレースに敵がいる 攻め方を敵から学び金メダル 老いという敵とやんわり手をつなぐ ふところに入って探る敵の腹 敵になる種にも同じ水をやり 月満ちて昨日の敵は今日の友 敵も味方もみんな涙を流してる |
正 子 礼 子 操 久仁子 英 子 礼 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2012.9.20 課題「ペン」 操 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
Uターンでペンを持つ手を鍬にかえ ありがとう母へペン先丸くなる 出てこない漢字に笑うボールペン 口下手はペンを味方に生きてきた 犯罪を許さぬペンにみた正義 セピア色見覚えのあるペンの跡 きれいごと並べて泣かす罪なペン ペン先で射止めて共に六十年 口下手でペンに力を借りている |
敏 宅 栄 英 子 冨喜子 文巳枝 初 恵 正 子 礼 子 操 |
2012.9.20 席題「洗う」 互 選 |
4点句 5点句 6点句 |
原点を洗って磨いて又洗い 野心捨て心を洗う墓洗う 幸せな音で二人の皿洗う |
正 子 健 一 礼 子 |
2012.8.16 課題「星」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
黒星を重ねて石の生きる音 星空を仰ぎあしたへ夢つなぐ 闇の中星に問うてる道しるべ ハンモック子へ満天の星を受け シャガールの愛星になり空を舞い 見上げれば星は静かに語りかけ いじめ死のやり切れなさを星に問う 流星群こころ乱れる深い闇 流れ星願い叶わず消えてゆき |
宅 栄 英 子 礼 子 宅 栄 初 恵 冨喜子 英 子 正 子 健 一 |
2012.8.16 課題「咲く」 敏 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
七十半ば迷いの花が咲きそびれ 赤く燃えカンナ晩夏の風になり 野に咲いて明日へ折れない夢を持つ 大輪の花咲く添うて半世紀 一輪の花憔悴の中で咲く 大輪を咲かす明日への母の如露 そっと咲きそっと散りゆく野辺の花 たおやかに咲いて炎を抱く朱夏の花 老いし友昔話に花が咲き |
正 子 初 恵 宅 栄 清 泉 健 一 礼 子 冨喜子 正 子 敏 |
2012.8.16 課題「坂」 互 選 |
4点句 5点句 |
年毎に険しさを増す歳の坂 グリーンシャワー浴びて苦もなく登る坂 坂道の途中夫婦の荷を分ける 風と歌って風と語って春の坂 坂道でお地蔵様が風をくれ |
礼 子 正 子 宅 栄 健 一 宅 栄 |
2012.7.19 課題「店」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
洋品店みんなモデルのような顔 残り火に風が欲しくてデパートへ 店先に並んだリンゴ皆赤い 北風にも屋台に自負の赤提灯 駄菓子屋の袋に溢れる夢を詰め 華やかな店が傷心和ませる 浮き沈み老舗の暖簾胸を張る 喫茶店ゆっくり楽しむ二分音符 時計店の時刻がすこしづつ違い |
初 恵 礼 子 久仁子 正 子 宅 栄 英 子 正 子 冨喜子 健 一 |
2012.7.19 課題「振り向く」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
振り向けば微罪の波がひたひたと 振り向いたひとみに和む朝の道 振り向いて欲しい朝のイヤリング 振り向くとだあれもいない風の私語 じゃあまたね老母へ振り向く里の駅 古稀の風流れにまかせ振り向かず 振り向くとあきらめてない妻の鍋 振り向けば筋書きのない明日がある 振り向くと見えてきました過去未来 |
初 恵 英 子 健 一 健 一 英 子 初 恵 宅 栄 冨喜子 清 泉 |
2012.7.19 席題「雨」 互 選 |
3点句 4点句 |
雨に咲く傘へ女の愛と憎 雨靴を買って雨の日待つ老女 梅雨晴れ間心の余白整理する 雨に泣き風に吹かれて老いの農 鍬休み雨読たのしむ広辞苑 雨の音ゆっくり猫と朝寝する 雨三日愚痴聞き飽きたてる坊主 テル坊主親子の愛が吊るされる |
健 一 英 子 宅 栄 冨喜子 冨喜子 初 恵 正 子 宅 栄 |
2012.6.21 課題「賑やか」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
賑やかに飲んで明日への靴をはく 賑やかに言う人もいて場が持てる 賞味期限すぎた女の賑やかさ とまり木で賑やか男の花が咲く 五線紙でおたまじゃくしの大合唱 賑やかなまな板僕が刻まれる 賑やかなことが好きです春の風 賑わした桜の吐息薫風に溶け 賑やかな酒盛りが好き歌が好き |
礼 子 久仁子 冨喜子 冨喜子 正 子 宅 栄 礼 子 正 子 健 一 |
2012.6.21 課題「天国」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
天国へ行ってみたくて酒を呑む 天国へ集まってくる使用済み 天国行き往復切符買っちゃった 陽だまりがまさに天国茶が美味い 追う夢があって天国まだ遠い 三食昼寝時間は自由天国だ 天国も地獄も見ました今生きる 天国を飲み干す心地大ジョッキ 天国のうわさ時々耳にする |
健 一 健 一 冨喜子 正 子 冨喜子 礼 子 清 泉 宅 栄 初 恵 |
2012.6.21 席題「髪」 互 選 |
3点句 4点句 |
湯煙へ小粋駒下駄ほつれ髪 惜しみなく与えて母の束ね髪 農一途モンペきりりと束ね髪 バスタオルが拉致わんぱくの洗い髪 人生を白髪まじりが深み増す おだやかな皇后さまの束ね髪 うすれゆく髪に未練はまだ残る ひざの児の産毛が光る春の風 髪洗う心の汚れ流すかに |
清 泉 宅 栄 冨喜子 宅 栄 久仁子 英 子 健 一 初 恵 冨喜子 |
2012.5.17 課題「幸せ」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
幸せは蛇口全開出来る朝 幸せね目と目が交わす花弁当 平凡に生きて幸せ皿洗う 腕組みを解かねば幸せ逃げてゆく 幸せの灯りを点すのは私 幸せな朝だにっこり目玉焼き 幸せないびきだ明日の夢語る 一つ笑い幸せ編んで夕陽にかざす 幸せなリズムが響く台所 |
宅 栄 初 恵 礼 子 冨喜子 正 子 英 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2012.5.17 課題「真面目」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
不真面目が真面目を武器にして光る A面を脱げば真面目な片えくぼ 不器用に生きて真面目を持ち歩き こつこつと磨いた腕が光り出す 地に低く真面目一筋蟻の列 生真面目な顔が並んだ二日酔い 瀬戸際で真面目な足が勝負決め 赤ちょうちん真面目な仮面ずれてくる 葡萄棚真面目に生きた亡夫がいる |
礼 子 正 子 初 恵 宅 栄 礼 子 健 一 宅 栄 初 恵 冨喜子 |
2012.5.17 席題「影」 互 選 |
3点句 4点句 |
時々は歩調あわない影法師 傷心の満月すこし影がある 影がまだあきらめてないこの勝負 本心を影に覗かれ鍵かける とどかない影を追うてる影法師 裏切りの影ひたひたとついて来る 影のある顔だがとても良く喋る 藻の陰に小魚群れて春を知る |
冨喜子 健 一 宅 栄 冨喜子 英 子 初 恵 健 一 敏 |
2012.4.19 課題「聞く」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
聞き馴れた声遠くから風に乗り 聞く耳を持たずおしゃべり毒を吐く 虫しぐれ雄の声しか聞こえない 都合良く聞いて気楽な風が吹く 春ですよ蝶耳打ちに来るベンチ おくれ毛が貴方の嘘を聞きとがめ 聞き流すことにも慣れて海は凪ぎ 父の樹のてっぺんで聞く労働歌 春風に花にささやく声を聞く |
初 恵 久仁子 操 初 恵 宅 栄 英 子 礼 子 宅 栄 健 一 |
2012.4.19 課題「晴れる」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
晴れた日は鍬が元気に風を切る その翼信じなさいと空が晴れ 晴れた日の散歩五体へ捻子を巻く 借金がなくなり我が家日本晴れ 母さんのおにぎり晴れた空も食べ 青空が心のサイズ広くする 大声で叫ぶと日本晴れてくる 青空と相性が合うにぎり飯 合格だ私の宇宙晴れ渡る |
礼 子 宅 栄 礼 子 健 一 宅 栄 宅 栄 健 一 礼 子 英 子 |
2012.4.19 席題「熟年」 互 選 |
3点句 4点句 |
トンネルを抜け熟年の顔が晴れ 私にもあっただろうか熟年期 酌ををする熟女に家が遠くなる 熟年期最後の炎燃やそうか 熟年になってゆとりのバラ植える 熟年の地図はゆっくり色褪せる 熟年の余白へ燃える風の彩 熟年はまだ登り坂空は青 |
宅 栄 操 操 操 英 子 健 一 宅 栄 英 子 |
2012.3.15 課題「弾む」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
好奇心あるから靴が弾んでる うぐいすの初音に弾む仁王の目 誉め言葉心が弾む気付け薬 春の色着て寒風へ弾む靴 血のにじむ足袋が弾んだ花舞台 残り火が弾み首輪の無い旅へ 意のままに弾んだボール過去のこと 起死回生弾んだ独楽のひとりごと 母さんの手元離れて弾む毬 |
冨喜子 宅 栄 久仁子 英 子 宅 栄 初 恵 操 正 子 健 一 |
2012.3.15 課題「招く」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
正直な土が招いて種をまく あの一言招いた誤解まだ溶けぬ ふきのとう出たと野風の招待状 招かざる客だ口笛吹いている 招いてもだーれも来ない冬桜 B級グルメ町に活気を招き寄せ 招かれて招いて絆太くなる 手招きに揺れる男の影法師 招かれてスキップで行く誕生日 |
冨喜子 英 子 宅 栄 健 一 正 子 英 子 宅 栄 初 恵 礼 子 |
2012.3.15 課題「狂う」 互 選 |
4点句 5点句 6点句 |
残り火が風にあおられ狂う恋 どん尻を抜け出してから狂いだす 老い二人時に狂った会話する 頑固爺勘は狂わぬ太い眉 風の野を歩いて狂う影法師 ゴキブリに狂ったように向かう妻 倦怠期夫婦のネジが狂い出す |
冨喜子 健 一 初 恵 正 子 健 一 英 子 健 一 |
2012.2.16 課題「ポケット」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
オシャレしてポケットの中空っ風 ポケットの油断穴から内緒もれ ポケットに青空詰めて七十半ば ポケットのどんぐり夢はまだ未完 笑い袋をポケットに入れて長寿の輪 亡母の愛心のポッケにしまってる 内ポケット見えつ隠れつする野心 ポケットの手を出し冬と手をつなぐ ポケットへもすこしください青い空 |
敏 初 恵 正 子 宅 栄 冨喜子 礼 子 正 子 宅 栄 健 一 |
2012.2.16 課題「去る」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
去って行く未練残して終電車 一時代駈け抜け父の去る日来る 受け入れて生きると決めた去年今年 札束が去って平和になりました 過ぎ去って幸せわかる八十路坂 去ってなお余韻が残る仲間の輪 なつメロが運んでくれた過去の色 去るものは追わず孤高の現在地 ありがとうとツバメの一家空へ去る |
敏 初 恵 英 子 健 一 礼 子 冨喜子 英 子 正 子 宅 栄 |
2012.2.16 課題「覗く」 互 選 |
4点句 5点句 6点句 |
たよりない野心ポケットから覗く まず鏡覗いて今日の彩きめる ブログからちらりプライド覗いてる 覗くまい終着駅が見えるから 節穴があるから覗いてみたくなる |
正 子 冨喜子 英 子 冨喜子 健 一 |
2012.1.19 課題「札束」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
札束にドラマティックな臭いする 札束もカードで影が薄くなり 逃げ足の速い札束追う遅足 札束をかきよせ焼いた夢を見た 札束はないが妻への感謝状 肩書きを持った札束風を切る 札束をドーンと置いて縁を切る 札束で愛のもつれる音がする 札束の多い方へと向くカラス |
初 恵 久仁子 礼 子 冨喜子 宅 栄 初 恵 操 宅 栄 健 一 |
2012.1.19 課題「太陽」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
今日も無事沈む夕日よありがとう 太陽と自負する妻に風なびく 太陽が和解の重い口を開け 朝の陽にプラス思考の靴を履く 太陽もにっこりできたよ逆あがり 太陽と向き合い長寿の大家族 太陽もわたしも燃える夏一日 太陽のような存在だった祖母 神々しい太陽の道歩きたい |
冨喜子 初 恵 宅 栄 礼 子 健 一 操 初 恵 久仁子 清 泉 |
2012.1.19 席題「走る」 互 選 |
4点句 5点句 |
懸命に走って来ました土踏まず 走るまい終着駅はすぐそこに 登り坂走れば母の応援歌 走ることやめれば里の風が凪ぎ 伴走の妻と受けてる雨や風 |
健 一 冨喜子 礼 子 宅 栄 宅 栄 |
2011.12.15 課題「深い」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
苦も楽も全部知ってる深い皺 さじ加減重ねて母の深い味 またの嘘許すおんなの深情け 深ぶかと頭下げても癒えぬ傷 深読みはせずに野仏風の中 告白の乱調霧は深くなる 受け入れる器が深い母の海 深い森モーツアルト聴くはぐれ鳥 秋の絵をめくれば深い深い霧 |
礼 子 宅 栄 英 子 正 子 宅 栄 正 子 宅 栄 英 子 健 一 |
2011.12.15 課題「しがらみ」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
しがらみを呑んで揺るがぬ嫁の空 しがらみがなくてゆっくり白い雲 しがらみにますます燃える恋心 しがらみに振り回されて回り道 しがらみを絆にかえて弾む老い いい風だ古いしがらみの洗濯 しがらみを断ち切る酒がほろ苦い しがらみを越え百歳の笑い皺 迷走の政治しがらみ渦巻いて |
宅 栄 礼 子 礼 子 冨喜子 英 子 正 子 健 一 宅 栄 初 恵 |
2011.12.15 席題「正直」 互選 |
5点句 6点句 |
正直な仮面が秘密を喋り出す 正直に言おうかスプーンかきまぜる 正直な鍬へお日様味方する |
健 一 英 子 宅 栄 |
2011.11.10 課題「爪」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
約束の明日へうきうき爪磨く マニキュアを落とした爪の深呼吸 キャンバスを爪に女の小宇宙 爪に灯を点した過去を笑い合う 爪といで明日に向かって靴を履く 爪染めて老女のハート魔女になる 氷壁を登る女の赤い爪 爪丸く切って夕焼け見ています テキパキと客をあしらう赤い爪 |
英 子 冨喜子 宅 栄 正 子 礼 子 英 子 初 恵 礼 子 健 一 |
2011.11.10 課題「面影」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
言わずとも彼女の孫とすぐ判る 面影を追って深い森の中 亡き夫の面影偲ぶ古背広 面影も所作も似てくる親子鷹 山里は父母の面影たぐり寄せ 面影を引きづりローカル線の旅 面影の街を時代の風が消す 焦げた鍋磨けば亡母の笑み映る 亡き母の面影恋し秋夜長 |
久仁子 健 一 冨喜子 敏 礼 子 初 恵 英 子 宅 栄 正 子 |
2011.11. 席題「疑惑」 互 選 |
4点句 6点句 |
誤診ではと疑惑ふくらみ雪だるま 夫婦して疑惑持ち合う倦怠期 六法を揺るがす疑惑の黒い影 疑惑にも微動だにせぬ父の眉 結論は玉虫色で増す疑惑 |
正 子 健 一 英 子 英 子 礼 子 |
2011.10.20 課題「運命線」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
運命線鮭も私も遡上する 運命線を操縦したい我が人生 運命線終着駅へと蛇行する 追想の女運命線のいたずらか 残り火が運命線をひた走り 八起き目で運命線を切り開く 振り返れば運命線上ちどり足 運命線トンネルを出て青い空 運命線に沿って気楽に生きている |
宅 栄 久仁子 英 子 正 子 初 恵 壽 子 正 子 礼 子 健 一 |
2011.10.20 課題「ブランド」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ブランドに包まれた背が寒すぎる 奮発のブランド米で祭り鮨 顔写真添えて野菜もブランド化 脱皮してブランドの舞い黒揚羽 ブランドを持てばリッチになれますか クラス会ブランドの山が動いてる ブランドの財布中身覗きたい ブランドで飾った家が冷えている ブランド物似合わないではないけれど |
健 一 英 子 礼 子 宅 栄 正 子 義 忠 礼 子 宅 栄 冨喜子 |
2011.10.20 席題「アンテナ」 互 選 |
5点句 6点句 7点句 |
アンテナは母住む里の方へ向け アンテナで人間模様観る野鳥 アンテナの感度鈍っていく不安 アンテナはいらない二人のテレパシー |
英 子 宅 栄 礼 子 初 恵 |
2011.9.15 課題「底」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
誘惑の盃底が抜けている 言い過ぎた悔いに眠れぬ夜の底 愛一つ風のいたずら耳底に 長靴の底から猛暑攻めて来る リストラの痛み分け合う靴の底 原発が底なし沼で灯をともす 古鍋の底に女の意地を見る フラスコの底でふつふつ湧く大志 どん底でとてもおいしく呑むビール |
礼 子 英 子 初 恵 壽 子 正 子 正 子 冨喜子 宅 栄 健 一 |
2011.9.15 課題「サングラス」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
冷淡な目線を隠すサングラス 裏切って少し濃いめのサングラス サングラスかけてストレス捨てにゆく サングラスとって本音の人となる 白を黒に変えて見せます色眼鏡 お日様からいい話聞くサングラス サングラス私好みの色で見る サングラスの中は笑っているのです 炎天へちょっと気取ったサングラス |
健 一 健 一 冨貴子 冨喜子 正 子 宅 栄 礼 子 健 一 英 子 |
2011.9.15 席題「軋む」 互 選 |
4点句 5点句 7点句 |
晩学のページ開ければ軋む脳 軋んでも父の威厳は崩さない 体中軋む音する熱帯夜 友が逝く心の隙間で軋む音 決断へ漕ぎ出す船の炉が軋む |
英 子 健 一 初 恵 正 子 正 子 |
2011.8.18 課題「ひまわり」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ひまわりが閉じた笑顔を開花させ 炎える陽にひまわりの応援歌 ひまわりが休耕田を活気づけ 被災地のひまわり明日へ向いて咲く 嵐でもひまわり天へ向く決意 目標は高くひまわり天に向け 落日のひまわり茜色に燃え ひまわりの中でゴッホの咳払い ひまわりの謀反太陽に背を向ける |
宅 栄 礼 子 久仁子 礼 子 正 子 宅 栄 初 恵 正 子 健 一 |
2011.8.18 課題「吐く」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
悪巧み吐かせ上手な母の顔 脅しても泥がなければ吐けません 正論を吐くと明日が見えますか 思いっきり本音を吐けば晴れてくる 愚痴ばかり吐いて孤独な風になる 再起する女気を吐き火も吐いて ため息を吐くと積木が崩れだす 大望へ蚕ゆっくり糸を吐く 吐き出してしばし治まる腹の虫 |
久仁子 義 忠 清 泉 英 子 健 一 正 子 健 一 宅 栄 礼 子 |
2011.8.18 席題「嘘」 互 選 |
4点句 5点句 7点句 |
思いやりの嘘はときどき言ってます 宣告を嘘で固める介護の日 面白い話あちこち嘘も混ぜ ちょっぴりの嘘で自分史ドラマめき うそ一つ心乱れる長い夜 |
健 一 礼 子 英 子 英 子 礼 子 |
2011.7.21 課題「人形」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
流し雛娘の幸せと夢をのせ 人形に一日の悩み見抜かれる 人形に想いを託して夢を追う 人形のような顔して無表情 亡母の香がどこかに残るひな人形 謎が謎からくり人形裁く闇 二人芝居リズムが狂う指人形 迷うとき人形になり風を読む 人形の瞳がきれい嘘はない |
敏 壽 子 冨喜子 礼 子 冨喜子 清 泉 初 恵 宅 栄 健 一 |
2011.7.21 課題「指切り」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
古里と指切り就農風みどり 指切りにかあるく乗って眠れない 指切りをしていた指も節くれて 指切りの小指が謀反起こしてる 指切りのきれいな嘘が見抜けない さわやかな指切り青い風の中 指切りの指が私を悩ませる 指切りを信じてかわいい子の寝顔 指切りの指から香るれんげ草 |
清 泉 壽 子 礼 子 冨喜子 健 一 英 子 健 一 礼 子 宅 栄 |
2011.7.21 席題「風」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
再起への夢燃え上がる向かい風 切れかけた笑顔へ風がコントくれ 一陣の風にもあった過去未来 逆らわず風に任せて老いの旬 両耳で風のうわさを聞きわける 残り火で暖めましょう老いの風 いい風が来たぞ二人の帆をあげる 坂道をプラス思考の風が押す 風の彩選んでひとり旅に出る |
英 子 宅 栄 宅 栄 冨喜子 健 一 英 子 宅 栄 礼 子 初 恵 |
2011.6.16 課題「いちご」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
苺いちご夢見る少女は片想い 苺パフェみんな童女の顔になる 絵手紙で自慢のいちご届けます 理不尽へ皿いっぱいにイチゴ盛る 野苺に出遭い古里手繰り寄す 秘めた恋とろり煮詰める苺ジャム 野いちごも感情線も紅く熟れ 赤く燃え誰を待つのか冬苺 温室で育ったいちごは行儀よい |
正 子 宅 栄 礼 子 英 子 正 子 英 子 宅 栄 正 子 健 一 |
2011.6.16 課題「少年」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
少年の人生ゲームはまだ途中 少年のかけらポッケに夢続く 大皿に夢盛る少年瞳がキラリ 少年の影ケイタイに吸い込まれ 泣き虫を越えて少年陽をつかむ 少年の夢の余白に母の愛 反抗期少年ハードル一つ越え 少年の視野から消えた宝島 声変わりまさか母族うろたえる |
健 一 宅 栄 正 子 初 恵 宅 栄 宅 栄 初 恵 健 一 清 泉 |
2011.6.16 席題「仮面」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 6点句 〃 |
鮮度良い風を抱きたい仮面脱ぎ 年金の暮らしに仮面重すぎる 仮面からもれる本心見えかくれ 良い嫁もたまには仮面はずしたい 縄のれん仮面はずした酒の味 |
宅 栄 健 一 礼 子 冨喜子 初 恵 |
2011.5.19 課題「砂漠」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
温暖化じわり砂漠が攻めてくる 駱駝ゆく月の砂漠へ馳せる夢 被災者の心に残る闇砂漠 この砂漠越せば解脱の華が咲く ネット砂漠で少年水に飢えている 胸中の砂漠に揺れる赤いバラ 砂漠から招かざる客風に乗り 真夜中のネット砂漠へ迷い込む 少年の夢を砕いた都市砂漠 |
清 泉 英 子 敏 宅 栄 宅 栄 初 恵 礼 子 英 子 健 一 |
2011.5.19 課題「消える」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
この道を託し人指し火の扇 修羅消えて老いた二人に春うらら 削除キー押して介護の一日終え 深すぎて消すに消せない胸の内 残り火を消さぬ努力を喜寿の坂 心の灯消さずすこやか明日を待つ 人の輪で消えた町にも生きる音 迷い消え明日のラインが光り出す 今日のこと消えて遠い日生き生きと |
宅 栄 英 子 英 子 正 子 礼 子 冨喜子 敏 宅 栄 初 恵 |
2011.5.19 席題「欠伸」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
欠伸などするなただ今見合中 終い風呂今日締めくくる大欠伸 輝いた一日をたたむ大欠伸 産湯から未来に向けた大欠伸 |
健 一 初 恵 宅 栄 初 恵 |
2011.4.21 課題「蛇口」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
蛇口から水が豊かに出る平和 上機嫌らしいハミングする蛇口 水涸れた蛇口にこだまする悲鳴 しっかりと蛇口を閉めて今日たたむ 蛇口から一滴私の涙かも 蛇口から妻の小言が攻めてくる 蛇口全開女の愛が溢れ出る 今日のウツ蛇口全開して散水 蛇口から春の匂いが流れ出る |
宅 栄 英 子 礼 子 壽 子 正 子 英 子 壽 子 正 子 健 一 |
2011.4.21 課題「楽しい」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
さくら咲く楽しみくれる春の風 楽しいナ踊る阿呆の仲間入り 花の下三婆カメラへVサイン 楽しさを母の笑顔が倍加する 花を賞で楽しく笑い老い知らず 菜の花の海に抱かれている二人 夕焼けに楽しい明日を予約する 灯に集い今日も家族の泣き笑い 鬼も邪もいて楽しいなどと言ってみる |
健 一 冨喜子 英 子 久仁子 冨喜子 宅 栄 壽 子 礼 子 正 子 |
2011.4.21 席題「不思議」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
傾いた独楽がしぶとく回ってる 今日の妻やさしいことを言う不思議 夕焼けの地図に不思議な影がある 不思議がる子供の疑問にある未来 目を皿にしてマジックの種探す |
宅 栄 英 子 健 一 礼 子 正 子 |
2011.3.17 課題「ラーメン」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
やけ酒の夜のラーメン身に沁みる カップ麺憎いお方と差し向かい 味自慢のラーメン店主無愛想 夜食ラーメン母さんの愛詰まってる 空きっ腹立ち食いラーメン金の味 ラーメンの屋台の湯気に憂さが解け 黙々とラーメン啜る孤を啜る ラーメンが受験子の捻子巻いている 裸電球が似合うラーメン屋の主人 |
英 子 正 子 英 子 冨喜子 敏 礼 子 正 子 礼 子 健 一 |
2011.3.17 課題「ふるさと」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
母も逝きふるさとの風詫しすぎ ふるさとで母の香のする風に会う 故郷で私の歩幅取り戻す 母のいるふる里温い風が吹く この鬼も孤独を提げて故郷へ向く すっぴんの顔は故郷に置いてある 老いるほど古里の絵が近くなる ふるさとで活断層を抱くカエル ふるさとへ流れる雲は早くなる |
久仁子 冨喜子 宅 栄 初 恵 正 子 とし子 英 子 宅 栄 健 一 |
2011.3.17 席題「レモン」 互 選 |
4点句 5点句 |
仲直りレモンのような笑顔です キッチンに春呼びたくてレモン切る 重苦しい話へさわやかレモンティー レモン一つ画布がいやしの彩になり 減塩食を妻とレモンが引き立てる |
健 一 英 子 健 一 初 恵 宅 栄 |
2011.2.17 課題「人情」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
人情に弱い我が家の遺伝子か ロボットの方が情けのある介護 人情は心の合い鍵かもしれぬ どん底で人情の根を太らせる ご用心情けも時々化身する 人情の風が潤す都市砂漠 友情は心のポッケに貯金する 人情のはざまで開く花の彩 人情の薄さを嘆く風の街 |
初 恵 宅 栄 礼 子 宅 栄 正 子 礼 子 冨喜子 正 子 健 一 |
2011.2.17 課題「泣く」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
不況風木々の先まで泣いている ひとすじの涙に女の意地がある 悔しさの涙ひとすじ忍の味 泣いたらダメ笑って生きる捻子を巻く 産声をあげた天使にある未来 泣き切って夕日に捨てた恋一つ 泣けるだけ泣いて夕日に溶けた恋 北風に森も私も泣いている 泣き落し次の一手を考える |
健 一 初 恵 正 子 正 子 宅 栄 初 恵 初 恵 健 一 冨喜子 |
2011.2.17 席題「吹く」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
空へ吹く風少年の夢乗せて プライドを捨てるとそよ風吹いてくる 母さんが動くと温い 風が吹く 頂をつかめば孤独な風が吹く |
英 子 英 子 健 一 宅 栄 |
2011.1.20 課題「パン」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ホームベーカリーあつあつパンで朝が明け あんパンをパクリ職場へ学校へ あんぱんの顔ニコニコとクリスマス メロンパン何だか笑顔になる私 ジェラシーもこんがりパン焼く程のこと フランスパン二人の朝をかみしめる パン焼ける匂い平和な朝が来る 情も愛もサンドウィッチにして持たす 節約の時代に重宝パンの耳 |
礼 子 清 泉 初 恵 英 子 正 子 宅 栄 英 子 正 子 健 一 |
2011.1.20 課題「遺書」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
遺書もなく天寿全う父の椅子 縁の下の苦労知ってた父の遺書 サスペンスドラマに遺書が隠れてる 遺書のよう母の残した雑記帳 遺書の記事重たい石を抱いて読む もう一通の遺書を届けた黒揚羽 知覧の遺書無念の蛍が舞い戻る ありがとう遺書に残して風になる 秋の日に書いては消して遺書を練る |
久仁子 宅 栄 初 恵 久仁子 正 子 宅 栄 正 子 初 恵 英 子 |
2011.1.20 席題「輪ゴム」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
伸びきった輪ゴムが川に浮いている のび切った輪ゴムのままの二人旅 輪ゴムにも意地があるからよく伸びる 伸びかけた輪ゴムの中にいる余生 伸び縮み輪ゴムくらいの夫婦仲 |
健 一 初 恵 礼 子 宅 栄 英 子 |
2010.12.16 課題「原点」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
出合いが原点持ちつ持たれつして平和 原点にかえり眼鏡をかけ直す 人生の原点さがす曲がり角 原点に立てばあの日の青い空 青い鳥追って原点忘れ去り 伸びすぎた心の枝を斬る初心 原点でリセット里の風は母 謎を解く鍵原点に落ちている 原点に戻れば温い母の風 |
正 子 冨喜子 敏 礼 子 英 子 宅 栄 英 子 初 恵 健 一 |
2010.12.16 課題「本心」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
本心はそっと畳んで嫁姑 本心のままに生きると魔女になる 本心はさておき万歳三唱する 本心はワイングラスの底にある 休憩のお茶が本心聞いている 本心が消せぬ忍者の寒い風 本心も邪心も呑んで火の宴 本心はぐっと飲み込む喉仏 本心を語らぬ父は背に描く |
冨喜子 英 子 正 子 健 一 初 恵 健 一 宅 栄 正 子 礼 子 |
2010.12.16 席題「森」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
青春の傷あと森に捨てに行く 森が好き森にひかれて風になる グリーンシャワー浴びて心の枝が伸び ヒナ達を鎮守の森がそっと抱き 森の木に耳を当てれば生きる音 秋の森自然が描いた美術館 |
初 恵 英 子 宅 栄 宅 栄 敏 初 恵 |
2010.11.18 課題「誘う」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
誘惑に負けそうきっぱり削除キー 秋の宵手招きをする赤提灯 ふる里の風に誘われ旅に出る 誘われた嫁の陣地があったかい 白馬の王子様誘われていた白昼夢 誘われて乗ってしまった泥の舟 誘惑のチャンスもあった夏の雲 酸欠の私を誘う鰯雲 銭のある方へと誘う飢えた雲 |
英 子 正 子 冨喜子 宅 栄 正 子 正 子 初 恵 英 子 健 一 |
2010.11.18 課題「コスモス」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
教室にコスモス咲いた歌の声 秋風にコスモス揺れて恋終わり コスモスの中で案山子が照れている 無人駅赤いコスモスお出迎え 病室のコスモスひたすらの祈り コスモスが原風景の中に揺れ コスモスに華やいでいる休耕田 コスモスが揺れる優しい母の風 コスモスが風の演技を見せてくれ |
義 忠 初 恵 敏 冨喜子 正 子 英 子 礼 子 健 一 宅 栄 |
2010.10.21 席題「裏切る」 健一 選 |
3点句 4点句 5点句 |
紅葉狩り天気予報に裏切られ 滑らかな舌に裏切り乗って来る 裏切られ心に刺さる深い棘 ブルースが響く裏切られたかもしれぬ 裏切った十指に寒い冬の風 裏切りの種は咲かせぬ母の畑 裏切りの目線だ少しずつそれる 裏切れば静かな母の海が荒れ |
礼 子 宅 栄 礼 子 正 子 健 一 宅 栄 正 子 健 一 |
2010.10.21 課題「水溜まり」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
雨上がり青空写す水溜まり 諦めを沈める胸の水溜まり 裏通り疲れた雑魚の水溜まり 水溜まり飛び越え明日へ生きる幸 捨て切れぬ過去が漂う水溜まり 墓までの話はずんだ水溜まり 水溜まり跳べば和解の灯がともる 水溜まり小指でつつく午後のうつ 愛情が足らぬ水溜まりが渇く |
初 恵 英 子 英 子 冨喜子 宅 栄 初 恵 宅 栄 正 子 健 一 |
2010.10.21 課題「火傷」 清泉一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
もう冷めた火傷する程熱い恋 命より火傷で済んだ迷いみち 残り火を軽くみていて大火傷 何回も火傷しながら生きている 残り火が燃えて低温火傷する 失恋の火傷にアロエ効くらしい 父の背に火の輪くぐった跡がある 火の中に飛び込む女のけもの道 黒焼きの卵火傷へ祖母の智恵 |
久仁子 義 忠 礼 子 初 恵 英 子 英 子 宅 栄 初 恵 清 泉 |
2010.10.21 席題「こっそり」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
ペアルックこっそり手まで繋いでる ため息はこっそりついてる介護妻 秋探す旅はこっそりひとり旅 内緒話母にこっそり釘をさす 泣いてないこっそり涙拭いただけ こっそりと涙拭いてた台所 ワイングラスこっそり愛を温める 健康な顔がこっそり飲む薬 |
正 子 英 子 英 子 正 子 英 子 健 一 宅 栄 宅 栄 |
2010.9.16 課題「カラス」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ゴミ漁りカラスただいま育児中 人間を監視カラスの鋭い眼 飽食のカラスもメタボやってくる ごみ箱を荒らすカラスと鬼ごっこ 町はエコカラスは山へ里帰り 夕焼けをカラスと一緒に急ぐ道 何かある今朝はカラスが騒がしい 山を出てカラスもいつか都会擦れ 弱虫のカラスが輪から逃げてきた |
清 泉 正 子 宅 栄 久仁子 英 子 礼 子 英 子 礼 子 健 一 |
2010..9.16 課題「有頂天」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ほめられて有頂天だよ孫娘 美酒に溺れ有頂天です今夜だけ 有頂天締める兜の緒が揺れる 有頂天になって天狗の鼻が折れ 有頂天から醒めて大地を踏み直す 有頂天になって流した汗光る 有頂天ひと夏の恋風そよぐ お若いと言われて鏡有頂天 いっときの線香花火か有頂天 |
久仁子 冨喜子 正 子 健 一 宅 栄 礼 子 清 泉 宅 栄 初 恵 |
2010..9.16 席題「本音」 互 選 |
3点句 4点句 5点句 |
ため息に老いの本音がふともれる 相槌をうちうち本音探りあい 争いを避けて本音は胸の奥 ご近所です本音押さえてニッコリと 深い溝いつか本音の橋を架け 決断の本音を帯にぎゅっと締め 耳よりも目で聞きとっている本音 例えばの話に本音添えておく 無記名に本音強気な顔を出す |
初 恵 冨喜子 英 子 冨喜子 宅 栄 宅 栄 礼 子 正 子 初 恵 |
2010.8.19 課題「シャボン玉」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
虹まといはかない命しゃぼん玉 シャボン玉遠くに飛んだ母の顔 シャボン玉消えてはかなく千の風 恋ごころ弾けて消えたシャボン玉 シャボン玉ふわり希望の風を抱く 束の間を風とたわむれしゃぼん玉 しゃぼん玉正論包み風に揺れ 今日のウツ包んで飛ばすシャボン玉 ふたりの仲でまだ迷うてるシャボン玉 |
礼 子 初 恵 冨喜子 英 子 正 子 礼 子 初 恵 英 子 健 一 |
2010.8.19 課題「台風」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
キャサリンだジェーンだそれって女優さん 台風でふっ切れました何もかも 人生の台風一過虹が見え 台風にテレビ番組乗っ取られ 里帰りまめ台風が大あばれ 人間に挑む風音水の乱 胸の中吹きまく嵐持て余す もの言えば台風の目になる子供 夏休み孫台風に右往左往 |
清 泉 冨喜子 英 子 礼 子 義 忠 初 恵 英 子 健 一 正 子 |
2010.8.19 席題「トンボ」 互 選 |
3点句 4点句 |
屈む背に愛の手を置く糸トンボ 赤とんぼ亡母の背中は温かった ふるさとのトンボを追った夏帽子 赤トンボハートに点火して逃げる 達者です極楽トンボ八十路坂 茜雲トンボと歩く二人連れ |
正 子 礼 子 英 子 正 子 英 子 英 子 |
※ 川柳も義母の入院のため、お休みし申し訳ありません。2か月分載せましたのでご覧ください。 | |||
2010.7.15 課題「梯子」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ケイタイが追いかけてくる梯子酒 遠来の友と梯子の縄のれん バーゲンの梯子母さんのエコ信念 気が乗ったところで梯子はずされる 幸せへ掛ける梯子を下さいな 八起き目をめざす梯子を登りきる 縄梯子真ん中あたりにある不安 きれいだな梯子かけたい今日の月 雪の日に母がおろした縄梯子 |
英 子 久仁子 正 子 礼 子 正 子 英 子 正 子 久仁子 健 一 |
2010.7.15 課題「無視」 冨喜子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
二の膳が互いに無視の乱気流 無視をした美人の棘がつきささる 異分子に無視はできない蟻の列 アドバイスわざと無視する反抗期 振り向きもせずに別れた風の音 無視ではない気付いて欲しい親心 柔らかい心に刺さる無視のとげ 無視すると淋しい風につきあたる この苦労無視しないでよ野菜達 |
初 恵 健 一 正 子 英 子 初 恵 正 子 礼 子 健 一 冨喜子 |
2010.7.15 席題「化粧」 互選 |
5点句 6点句 |
念入りな化粧に夫は落ち着かず 案山子にもすこし化粧をしてやろう 女にも7人の敵紅を引く 化粧する女の火種消さぬよう いい話聞いて心に化粧する |
正 子 健 一 正 子 冨喜子 英 子 |
2010.6.17 席題「化粧」 互選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
怪しいと思えば白も黒く見え 正論を吐いてはいるが目が泳ぎ 怪しいと後ろを追ってみたくなる 怪しいと思えば案山子までも敵 若しかして電話のオレに身構える あなただけと怪しい話風も聞く 検診の怪しい影をキャッチする ヒョットコのお面が踊る怪しいぞ 路地裏で怪しく動く夜の蝶 |
礼 子 宅 栄 礼 子 正 子 英 子 冨喜子 初 恵 正 子 健 一 |
2010..6.17 課題「夕焼け」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
夕焼けに染まる小道の二人連れ 夕焼けにあすの予定を描いてる 夕焼けに心の秘密そっと乗せ 夕焼けがきれいふる里の絵を書こう おすそわけ夕焼け雲も乗せて来る 夕やけが明日の夢を染めて行く 写経する手を夕焼けの陽が染める 夕焼け小焼けかくれんぼの子が帰らない ひとり旅夕焼け空に包まれる |
義 忠 礼 子 冨喜子 健 一 宅 栄 初 恵 正 子 健 一 英 子 |
2010.6.17 席題「宿」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
せせらぎに心を洗う山の宿 合宿の汗に優しいみどり風 野宿するテントへ星の応援歌 人間の欲を流しに北の宿 |
礼 子 宅 栄 宅 栄 健 一 |
2010.5..20 課題「ネクタイ」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ネクタイに大志を結び入社式 休日はネクタイ外し変化球 ネクタイをゆるめ本音のおつき合い ネクタイが自我をしばって歩いてる ノータイの男が踊る花の下 くたびれたネクタイ集う縄のれん 心のネクタイはずして垣根低くなる ネクタイが戦う男の顔にする ネクタイが素敵途中下車しよう |
宅 栄 正 子 冨喜子 礼 子 初 恵 英 子 礼 子 初 恵 健 一 |
2010.5.20 課題「笑う」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
立ち話犬も呆れる大笑い 山頂へ同行二人膝笑う 痛いとこ突かれ思わず苦笑い 手品師の鳩が出なくて大笑い 生も死も乗り越え男高笑い いい夢を見ているか寝顔笑ってる 笑うには部屋がすこうし暗すぎる 虚も実も見せて素直な笑い皺 忘れてた笑顔を春が持って来た |
英 子 清 泉 義 忠 健 一 初 恵 久仁子 健 一 正 子 礼 子 |
2010.5.20 席題「切符」 互選 |
4点句 6点句 |
夢のある切符握って旅に出る 浄土への切符は一枚あればよい 小包に帰省切符もしのばせて 自動化に切符の味が薄れゆく 婚活の切符理想が邪魔をする 人生の切符葉いつも自由席 |
健 一 健 一 久仁子 宅 栄 英 子 宅 栄 |
2010.4.15 課題「リンゴ」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
負け戦乗り越えましたリンゴ箱 絵手紙から飛び出しそうなりんごっ子 南国で真っ赤なリンゴのひりごとと 平成のりんごの気持ちが分からない 少女から脱皮リンゴをむくように 誉められてリンゴの夢は光りだす 色づいたりんごに似合う青い空 アップルパイ焼くあなたへの愛重ね よく熟れたリンゴストレスなどはない |
清 泉 冨喜子 正 子 初 恵 宅 栄 英 子 礼 子 宅 栄 健 一 |
2010.4.15 課題「雪」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
座禅草雪解け水の中に咲く 文明に姿を消した雪女 福寿草雪から覗くそこは春 三月の雪が庭木を狂わせる 豪雪も命の糧にコシヒカリ 雪降って荒田にうれし厚化粧 リストラの肩へ冷たいなごり雪 まっ白い雪だライバル許そうか 握手した指から根雪とけてゆく |
義 忠 礼 子 正 子 初 恵 清 泉 礼 子 英 子 健 一 宅 栄 |
2010.4.15 席題「鍵」 互選 |
4点句 6点句 7点句 |
裏口にまわれば鍵はあいている 渡されたカギに心を縛られる 余生の鍵あずけて今日の風に乗る 反抗期の出口をあける鍵がない |
健 一 英 子 正 子 宅 栄 |
2010.3.18 課題「ブランド」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ブランドがなんだそれでも目が泳ぐ 店頭のブランド仕分けされそうだ ブランドで包んでも愛包めない 風化した顔にシャネルのペンダント ブランドより夜なべの母のしつけ糸 身につけたブランド自慢冷める風 シャネル5の香り隠せぬかくれんぼ ブランドの洋服着てる案山子さん ブランドに身を包まれてすきま風 |
英 子 正 子 宅 栄 冨喜子 宅 栄 礼 子 宅 栄 冨貴子 健 一 |
2010.3.18 課題「愛人」 清泉 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
シャネル五番噂が運ぶ謎の女 愛人に徹する大きなイヤリング 肩寄せて相合傘が噂の根 胃カメラが愛人の影写し出す モナリザの笑みで愛人待っている オシドリになれぬ二人へ淡い雪 愛人捨てて嫁に行こうか白無垢で 束の間の愛に溺れたちぎれ雲 愛人がまさかに束でうろたえる |
正 子 健 一 正 子 宅 栄 英 子 宅 栄 英 子 初 恵 清 泉 |
2010.3.18 席題「おだやか」 互選 |
3点句 4点句 5点句 |
本心を突かれおだやかさが消える おだやかに老いてお洒落もしてみたい おだやかな音色で母の子守唄 おだやかに腐葉土となる落ち葉達 おだやかな顔が並んだ日向ぼこ 地蔵様蝶もトンボも来て止まる |
健 一 冨喜子 宅 栄 宅 栄 正 子 正 子 |
2010.2.18 課題「迷う」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
二人三脚細くて長い旅迷路 明日の絵を迷路が塞ぐ日の焦り 迷うたび人は優しい色を着る 人生パズル波乱万丈迷い道 人情か義理かに迷うヤジロベエ 言い訳の視線が少しづつそれる 迷路から抜けて青空見えて来る 迷いながら散っていくのか寒桜 妥協する拳がいまだ迷うている |
初 恵 寿 子 宅 栄 正 子 宅 栄 正 子 礼 子 英 子 健 一 |
2010.2.18 課題「髭」 初恵 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
口ひげが妥協はせぬと威張ってる サスペンスぴくっと動く猫の髭 七人の敵男は黙って髭を剃る 革命の波に気づかぬ王の髭 りっぱな髭のご主人さまは気がちさい お正月帰った息子にゃ髭がある 退院の朝のひげそり音が澄み 代々の栄え髭の遺影に見守られ 路地裏の猫身の丈に合ったひげ |
寿 子 英 子 正 子 宅 栄 健 一 英 子 宅 栄 正 子 初 恵 |
2010.2.18 席題「振り向く」 互選 |
3点句 〃 〃 4点句 〃 〃 9点句 |
振り向いて挨拶したがハテどなた 振り向けば青雲の夢続く空 聞き覚えの声に振り向く街ん中 振り向いてばかりで出世できぬまま 振り向けば貧乏神に出会いそう 晩学に振り向く暇のない五感 振り向いてはいけない敵は真正面 |
冨喜子 宅 栄 礼 子 健 一 正 子 初 恵 健 一 |
2010.1.21 課題「再会」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
燃えた日とそっと再会古日記 再会の握手が時の隙間埋め 再会の顔に生き様描いてある 再会で女の火種ルージュ引く 再会の握手思い出手繰り寄す 再会にいつしか玉手箱開き 再会の箸が火種をつまむ宿 偶然の再会揺れるイヤリング 再会の迷いを風が消してくれ |
礼 子 宅 栄 正 子 冨喜子 正 子 初 恵 宅 栄 英 子 健 一 |
2010.1.21 課題「指切り」 正子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
指切りをしてから熟れる冬苺 三歳の小指げんまんクリスマス 指切りで諭した孫に諭される 大臣と指切りしたい爺と婆 指切りをしてから女束ね髪 針千本飲んで男は強くなり 指切りの指に嘘だと見抜かれる お日様と指切り今日を生きる幸 指切りは罪後ろ髪またも引く |
健 一 英 子 礼 子 冨喜子 宅 栄 初 恵 健 一 清 泉 正 子 |
2010.1.21 席題「渡る」 互選 |
3点句 4点句 5点句 |
ラストダンスで渡る二人の虹の橋 海峡を渡るカモメが寄る港 互いの目信じ夫婦の綱渡り 妻となら渡るこの橋怖くない 世渡りのうまい女に騙される 父の背を追い抜く明日の橋渡る この谷を渡ると広い空がある |
宅 栄 健 一 宅 栄 英 子 健 一 宅 栄 英 子 |
2009.12.17 課題「信頼」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
道の駅笑顔と信頼秋を買う 医師のメス信じて俎上の風を抱く 天秤に信頼乗せてひと思案 信頼されますます粋な男舞い 信頼がリストラの父再起させ 信頼に繋がれている細い首 箸と碗信頼しあう一つ膳 言葉より握り返した手が温い 信頼の絆がっちりかずら橋 |
冨喜子 宅 栄 礼 子 正 子 英 子 礼 子 初 恵 宅 栄 健 一 |
2009.12.17 課題「青い」 英子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
青春の夢の振り子は今もなお 青空を味方につけて野良に出る 百歳のなお青春の扉開け 青いみかん色づき少年旅に出る 不揃いのリンゴ並べた青春譜 カルテにある迷い重なる青い月 ちぎれ雲あるから楽し青い空 大の字も正座も似合う青畳 就活へめげずに挑む青リンゴ |
礼 子 礼 子 宅 栄 初 恵 正 子 正 子 初 恵 礼 子 英 子 |
2009.12.17 席題「押す」 互選 |
4点句 5点句 6点句 |
放棄の印押せば空気澄んでくる またしても妻の意見に押し切られ 押し問答おさめてくれた熱いお茶 |
宅 栄 英 子 礼 子 |
2009.11.26 課題「坂道」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
それぞれの坂道があり空の青 喜寿の坂一人呑気に句を拾う 幸せはこの坂道の向こう側 こぼれ咲く萩の坂道亡母と逢う 修行の坂道霧は裾から晴れてくる この坂道上れば里の風に会い 坂道で背なを押してる母の風 背負うた荷紐締め直す浮き世坂 坂道を降りたところで妥協する |
宅 栄 冨喜子 義 忠 英 子 正 子 久仁子 礼 子 正 子 健 一 |
2009.11.26 課題「母」 礼子 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
心配はかけぬ涙の母を見た 亡母と同じ涙を流す女坂 子離れをした母さんはバラに恋 どん底で知った母さんの温い膝 嫁ぎ先に母の味覚も連れて行く 傷ついた糸つむいでくれる母の指 無理かどうか逃げ腰叱る母の声 母いつも笑顔で受けた雨と風 傷ついた心繕う母の糸 |
清 泉 初 恵 英 子 健 一 久仁子 宅 栄 正 子 健 一 礼 子 |
2009.11.26 席題「ふるさと」 互選 |
3点句 4点句 |
絵手紙の柿故郷の風を着る ふるさとへホタルいっぱいいる安堵 ふるさとの匂いを連れて届く柿 ふるさとに続く青空白い雲 ふるさとへ帰っておいでと風が呼ぶ ふるさとで最後の夢を発芽させ ふるさとをてんこ盛りして母は待つ ふるさとの風は心の角をとる |
宅 栄 健 一 冨喜子 清 泉 健 一 宅 栄 正 子 礼 子 |
2009.10.15 課題「汗」 健一 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
しとやかな妻冷や汗の嘘ひとつ 燃えるものまだあり日々の汗を積む 完走の汗年金に姿変え 血も汗も流してからの仏顔 しのび逢いいつもヒヤヒヤ汗が出る 本心を言い出しかねて汗にじむ 夜の宴鈴虫主役汗ひそむ ワイシャツに無言の汗の文字がある 横着な猫の額に汗はない |
英 子 宅 栄 礼 子 正 子 義 忠 初 恵 冨喜子 宅 栄 健 一 |
2009.10.15 課題「赤字」 宅栄 選 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
マルサの目光る赤字の裏帳簿 シャネルエルメス家計の赤字忘れてる 曼朱沙華まんまん中の赤字線 都会暮らしの赤字を救う里の畑 赤字がなんだ男は黙って酒を飲む 赤字幅増えたが子等は皆元気 自家野菜赤字の膳を援護する 帳尻を合わす赤字の着地点 お茶の間に身を寄せ合っていた赤字 |
初 恵 英 子 清 泉 久仁子 健 一 久仁子 礼 子 正 子 宅 栄 |
2009.10.15 席題「虹」 互選 |
4点句 5点句 6点句 7点句 |
虹の橋ストレスどこか連れていく 気まぐれな神の絵筆か秋の虹 虹色の夢追いかけて喜寿元気 パズル解け僕の背中に虹が出る 虹が出てみんな優しい顔になる |
正 子 宅 栄 礼 子 健 一 宅 栄 |
2009.9.17 海 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
海浜に思い出たぐる熱い夏 欲望の海で孤独な帆を揚げる 海が凪ぐ賃上げ交渉無事成立 波の音聞いて充電しています 年金の海に漂う二人舟 大海へ夢捨てきれず雑魚の念 さざ波へ憂いを流す海の宿 遺伝子を埋めた海亀旅続く 原点に返ると海が凪いでくる |
礼 子 宅 栄 正 子 英 子 初 恵 正 子 英 子 初 恵 健 一 |
2009.9.17 平凡 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
平凡な履歴書田舎の水が好き 平凡だがうちにはうちの色がある 平凡な余生へロマン彩を足す 平凡な顔引きしめる眉を描く 平凡に生きて平和に笑う夢 平凡でヒミツも過去も無い人生 平凡が一番だなとねぎ刻む 平凡に生きて無冠の父の自負 平凡な位置で幸せ噛みしめる |
清 泉 宅 栄 英 子 初 恵 正 子 初 恵 礼 子 正 子 健 一 |
2009.8.27 竹 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
竹ざしが孫の手老母の背をかいて 竹ぼうき胸の落ち葉も掃いている 若竹が五月の空を突き上げる 鯉のぼりと仲良く遊ぶ竹トンボ 竹トンボ風に吹かれて飛んでった 竹藪で見つけた春ですし作り 竹の子の料理あれこれ旬を食べ 父と子の笑顔が飛ばす竹トンボ 竹馬でケンケンついた幼き日 |
初 恵 宅 栄 正 子 健 一 義 忠 冨喜子 久仁子 英 子 智 遊 |
2009.8.27 弱い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ダイエットもうあきらめた弱い人 苦しさに弱音を吐かぬ母の顔 弱そうに見える女が生き残り 美人には弱い素通りして行こう 早起きは弱いがゴルフだけは別 意地はってみても弱さが顔を出す 話し相手が欲しいと思う日の弱気 雑草が弱音を笑うように伸び 女には弱いが妻には負けられず |
冨喜子 義 忠 初 恵 健 一 正 子 久仁子 宅 栄 英 子 智 遊 |
※講師のご都合で6、7月は例会がお休みのため、掲載できませんでした。 | |||
2009.5.28 協力 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
皆の手で見る間に刈った土手の草 口よりも金の協力待ってます 求愛の姿に風も味方する 無事定年妻の協力謝する朝 省エネに協力忠実(まめ)に切る電気 ふる里の風も協力選挙戦 農繁期子の協力で疲れ飛ぶ 小さい手が小銭を入れる募金箱 遠路から三男桃の袋掛け |
宅 栄 義 忠 健 一 清 泉 礼 子 初 恵 久仁子 英 子 智 遊 |
2009.5.28 告げる |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
若作りしても鏡は老いを告げ 告げ口が思わぬ嵐巻き起こす 告げ口は軽く流したはずの月 ガン告げる医者は余裕のある顔で 呆け具合互いに告げる同期会 三日目も豆腐家計ピンチ告げ さよならを告げる静かにメール打つ 大空に男子誕生告げる鯉 畑を打つ肩が告げてるもう休め |
英 子 礼 子 正 子 初 恵 冨喜子 宅 栄 健 一 久仁子 智 遊 |
2009.4.23 広場 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ポイ捨ての煙草広場が泣いている 子等の声絶えて久しい村広場 泣きに来た広場でもらう人の情 デパートの広場憩いも買いに行く 陽の当たる広場に笑顔集い来る 広場にはシルバーばかり児は見えず 子の声が無い広場から風が泣く 広場から子供が消えた塾通い 盆踊り終わった広場に虫の声 |
清 泉 冨喜子 健 一 宅 栄 壽 子 礼 子 正 子 英 子 智 遊 |
2009.4.23 甘い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
定年に描いた甘い夢遠く ダイエット甘いお菓子とニラメッコ 見通しの甘さを叱る空の青 家計簿にまだまだ甘いと叱られる むずかしい爺も孫には甘くなり ひと振りの塩が甘さを引き立てる イヤリングぶらり美人の甘い罠 孫が来て家中甘い風になる 大手まんじゅう十個平らげ飯を抜き |
初 恵 正 子 宅 栄 英 子 礼 子 久仁子 健 一 壽 子 智 遊 |
2009.3.26 影 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
師の影は踏めないすこし歩をゆるめ 星影のワルツは若い日を辿る ブランコに孤独な影が揺れている しがらみを断って身軽な影法師 だんだんと影が伸びてる立ち話 転んだら転んだ影に励まされ 肩書きがとれて淋しい影法師 旅に出て別の私の影探す ある日ふと居眠り影に追い越され |
健 一 礼 子 初 恵 壽 子 宅 栄 正 子 冨貴子 英 子 智 遊 |
2009.3.26 椅子 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
祖父の椅子囲んではしゃぐ孫曾孫 待ち惚け椅子も一緒に欠伸する 日だまりの椅子に笑顔がまた一人 ダイエットすぐにやれよと椅子の声 回転椅子表と裏の顔を持ち 負け組みを居酒屋の椅子包み込む 勝ち抜いた椅子で孤独な風を抱き 裏切った椅子がすこうし揺れている 妻が時々場所を変えてる僕の椅子 |
久仁子 壽 子 正 子 義 忠 初 恵 英 子 宅 栄 健 一 智 遊 |
2009.2.26 餅 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
鏡開き今年の運を混ぜて食べ 食べすぎた餅をカルテが暴き出す 神様の息がしみてる鏡餅 子に送る寒餅野菜も詰め込んで にぎやかな声へ棟から餅が飛ぶ おかわりの声も賑やか雑煮膳 ドンド焼き餅を頬張る子等元気 亡母の味ずっと守っている雑煮 三食三日餅で過ごしたお正月 |
正 子 宅 栄 健 一 光 子 英 子 冨喜子 久仁子 礼 子 智 遊 |
2009.2.26 テレビ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
大型のテレビが覗く美女の皺 難聴のテレビのトーンチャイム消す うたた寝がテレビを消せばすぐ起きる 夜更かしを今日もテレビに誘われる テレビつけ我が家の朝が動き出す 老眼鏡買ってテレビは美女ばかり 消し忘れ深夜のテレビに起こされる テレビ消し虫の音を聴く夜の豊か 紅白を寝床で見ていて消し忘れ |
壽 子 壽 子 光 子 礼 子 久仁子 冨喜子 初 恵 宅 栄 智 遊 |
2009.1.22 霜 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
初霜へ花木の避難間に合わず 太陽の愛にときめく霜柱 霜よけの藁のかげから寒ボタン 霜に耐え甘さを増やす冬野菜 冬野菜霜の洗礼受けて美味 初霜を踏んで輝くランドセル 夜勤明け足の乱れを霜に置く 霜予報水道管も着膨れる 霜握り稲刈りあの頃若かった |
英 子 壽 子 冨喜子 久仁子 礼 子 健 一 正 子 宅 栄 智 遊 |
2009.1.22 岡山弁川柳 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ちんめい石にけんぱんじいてとしゅう(年)知る 苛ら苛らすりゃあけっぱんじいてこけるぞな 吹き捲るぼっこう強え不況風 牛歩じゃあ世の中渡れそーにねー 正月じゃあ言うのにかねゃあ(金)ありゃーせん 夢だきゃあ年う取っても追ようるで うめえ話乗ったらおえん罠じゃろう チンせぇとメモはあるけどおらん妻 このはしゅう(橋)渡りゃ彼女に会えるかも |
壽 子 冨喜子 英 子 正 子 健 一 久仁子 礼 子 宅 栄 智 遊 |
2008.12.25 眼鏡 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
懐のメガネ祝辞の間を待たせ インテリになった気分で伊達眼鏡 サングラス一寸おどしかけてみる サングラス若い気もらい旅をする 喜寿近し眼鏡が時々かくれんぼ 日向ぼっこ老眼鏡があくびする 嫁が来て少し下げてるメガネの度 枕元眼鏡はずして今日を置く 七十路過ぎ老眼鏡の力借り |
初 恵 久仁子 壽 子 礼 子 冨喜子 英 子 宅 栄 正 子 智 遊 |
2008.12.15 送る |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
赤い陽を見送りながら鍬洗う 父送り母を送って里は過疎 柩送って喪服も私も脱ぎ捨てる 井戸端が今日も噂の風送る 子へ送る白菜有機無農薬 脇役でのんびり送る我が余生 バージンロード父の涙で娘を送り 絵手紙の太い大根母元気 恋人を涙で送った日は遠く |
礼 子 久仁子 健 一 壽 子 清 泉 冨喜子 初 恵 英 子 智 遊 |
2008.11.25 財布 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
うっかりとレジに並んだ空財布 スーパーのレジで気がつく空財布 物価高やせた財布が悲鳴あげ 春財布のはずがダイエットばかりする 財布の中を妻に抜かれた二日酔い 一人旅郵便局という財布 三日目も財布が遊ぶ冷奴 デパ地下は主婦の財布を開けさせる 硬貨ジャラジャラお札に縁のない財布 |
初 恵 冨喜子 礼 子 正 子 健 一 清 泉 壽 子 英 子 智 遊 |
2008.11.25 若 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
金も無し知恵もないけど若さあり 耳朶に穴をあけてるまだ若い お若いとおだてられてる四月馬鹿 思い切り若い服手に試着室 古日記開いて若い日を辿る 公園のベンチに青春落ちていた 古日記開けば若さ踊り出る ジーパンの穴から若さ覗いてる いつまでも若い気で飲むコップ酒 |
義 忠 健 一 冨喜子 初 恵 礼 子 壽 子 正 子 英 子 智 遊 |
2008.10.23 虫 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
虫の音を肴に一人月見酒 熱帯夜虫も不貞寝か声もなし 無農薬虫と競争して食べる 虫の音につい聞きほれて長湯する 虫の音とゆっくり対話終い風呂 虫かごに夢一杯の夏帽子 虫達とどう折り合うか秋の畑 虫の声BGMにして眠る 蝉の声消えてすず虫おらが秋 |
壽 子 冨喜子 正 子 宣 枝 礼 子 初 恵 宅 栄 英 子 智 遊 |
2008.10.23 散歩 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
足早の夫と会話の無い散歩 コスモスの風の中行く散歩道 朝取りの野菜もらって散歩道 好きな道好きな人との散歩道 散歩道ポッケの手帖句を拾う 老夫婦妻が先行く散歩みち 夕焼けと一緒に帰る散歩道 ふるさとの散歩昔の風に会う 散歩から帰るビールが冷えている |
初 恵 壽 子 礼 子 宣 枝 冨喜子 義 忠 正 子 英 子 智 遊 |
2008.10.2 草 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
道草の楽しみ知らぬスクールバス 草むらであしたの運命考える 雑草と風を分け合う夏の畑 憎い草もかわいい花を咲かせてる 下校時の道草楽し新入生 踏まれてもいつか花咲く草の意地 休耕田はびこる草に乗っ取られ 雑草に生きる強さを教えられ 取っても取ってもつまりは草に負けました |
冨喜子 健 一 宅 栄 久仁子 光 子 初 恵 英 子 礼 子 智 遊 |
2008.10.2 喫茶店 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
クラシックの余韻に浸る喫茶店 別れ話砂糖も沈む喫茶店 喫茶店コーヒー一杯雨やどり 妻の留守喫茶で済ますモーニング 一人では手持ちぶさたの喫茶店 医者通い帰りの楽しみ喫茶店 喫茶店いつも自前でいい仲間 初恋の思い出仄か喫茶店 一時間二時間まだ来ぬ君を待つ喫茶 |
健 一 宅 栄 宣 枝 初 恵 冨喜子 光 子 礼 子 壽 子 智遊 |
2008.8.28 舟 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
湯船から鼻歌流れ平和な湯 泣き笑いの人生だった夫婦舟 定年後舟の漕ぎ手は妻になり 荒波に耐えて夕凪夫婦舟 息合う日合わぬ日もあり夫婦舟 祝い舟みんなの笑い乗せて行く ジグザグの船旅楽し我が余生 助け舟出さぬが話聞いてやり 笹舟を追ったふる里遠くなり 船旅に酔ってそれから舟嫌い |
正 子 壽 子 初 恵 礼 子 宅 栄 健 一 冨喜子 久仁子 英 子 智 遊 |
2008.8.28 騒ぐ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
騒ぐのはよそうやさしい嘘だから バカ騒ぎしてストレスがまた溜り ジャンボくじ当選外野が騒がしい 騒いでももう手遅れと皺が言う 過疎の里芒の原に風騒ぐ 熱帯夜脳が騒いで眠られず 呑んで騒いであとはフイルム切れました 騒がないで私脱皮の途中です 手も口も賑やか女のティータイム 酔って騒いで男可愛い動物ね |
正 子 久仁子 壽 子 冨喜子 礼 子 英 子 健 一 宅 栄 初 恵 智 遊 |
2008.7.24 袋 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
父権消ゆ給料袋に罪は無い いやな事一緒に入れたごみ袋 いい物が出てくる母の小物入れ おのおのがエコに協力マイバック 桃作り夢も包んで袋かけ 胃袋が悲鳴を上げるバイキング 少しだけ見栄を入れてるのし袋 宅配の袋故郷がこぼれ出る 慰問袋そんな袋があったっけ |
清 泉 冨喜子 初 恵 宣 枝 礼 子 久仁子 英 子 正 子 智 遊 |
2008.7.24 折る |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
後期医療と自分の命の指を折る 先祖の田骨折る老父黙々と 不意の雨ズボンの折れ目台無しに バラきれい一枝折って食卓へ 夢を折る千代紙老母の太い指 野の花を一輪手折り友迎え 折り鶴に病気平癒の願い込め 攻めてくる老いに折り合い付けている 初恋の君と会う日へ指を折り |
健 一 正 子 久仁子 冨喜子 初 恵 壽 子 礼 子 英 子 智 遊 |
2008.6.26 川(河) |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
魚河岸の活気魚もはねている 川ぞいの花が水面に映えている 昔話今も変わらぬ祖母の川 故郷の川で心を憩わせる 人間のごみを呑み込み川無言 笹舟を流した小川故郷の春 故郷の小川民話を抱き寄せる 父の川流れがすこしづつ弱る いつからか蛍が消えた里の川 |
光 子 冨喜子 初 恵 英 子 宅 栄 正 子 壽 子 健 一 智 遊 |
2008.6.26 選ぶ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
大輪を夢みて種を選び蒔く いい空気だけを選んで深呼吸 いい育ち夢みて野菜の苗選ぶ 後半は名前連呼の選挙カー 恋人の近くを選び間借りする あれこれと選んで残すバイキング 服十着着たり脱いだり旅前夜 心の花きれいに咲かす種を選り 背広一着選ぶデパート三回目 |
正 子 宣 枝 礼 子 光 子 義 忠 英 子 壽 子 宅 栄 智 遊 |
2008.5.22 野原 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
申し訳無い野原に化けた先祖の田 春の野は緑の絨毯自由席 野花摘み女独りの子守り歌 何もかも許して広い野を駈ける 春の色集めて野原風光る タンポポの野原私は蝶になる 愛終わり冬の野原をさまよいぬ 弁当の輪に野の風も来て座り 食卓に野の花飾り手酌酒 |
壽 子 礼 子 正 子 宣 枝 冨喜子 英 子 健 一 宅 栄 智 遊 |
2008.5.22 追う |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
愛一途あなたを追うて森の中 追いついて肩をたたけば人違い 母の背な見えてなかなか追いつけず 追う夢がだんだん遠く逃げていく 追いついた流行の服はもうすたれ 年金の枠で夢追う旅プラン 風を待つまだまだ夢が追えそうで 家中の鬼を追い出す豆をまき 孫を追う甥の足元もつれ気味 |
健 一 冨喜子 宣 枝 礼 子 英 子 壽 子 正 子 初 恵 智 遊 |
2008.4.24 芽 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
春淡し芽ぶきはじめて山動く 春の陽を浴びて新芽がわっと沸く たらの芽を口いっぱいに春を噛む やがて芽は大きく育つ母の森 プランター花芽が春をのぞいてる 里に住み春を頬張る木の芽和え 芝焼きの大地に芽吹く春の使者 ハミングの様な春風木の芽萌ゆ 孫いつか芽を吹くその日待つ爺で |
宣 枝 正 子 英 子 健 一 初 恵 礼 子 壽 子 冨喜子 智 遊 |
2008.4.24 子供 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
子供等の笑顔に元気もらう日々 格差社会の裏で子供が病んでゆく お守りと携帯ゆれるランドセル 子の遊ぶ姿も見えず過疎の路地 子育てのヒントつばめに教えられ ベビーカーゆっくりになる春の風 親の夢つめて重たいランドセル 春の風邪可愛い孫の置土産 ある時は子供に返るそんな日も |
久仁子 健 一 正 子 冨喜子 光 子 英 子 礼 子 宣 枝 智 遊 |
2008.3.27 坂 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
坂道で春を満喫万歩計 人生の坂道転げてなるものか 脳回路磨いて挑む老いの坂 八合目清水に憩う登山靴 老いの坂やさしい言葉に背を押され 人生の余白に坂道多すぎる 喜寿の坂叶わぬ夢を追い続け 途中下車くり返しつつ夫婦坂 坂道を上ればやさしい風が待つ 坂道になって夫婦の歩が揃い |
冨喜子 清 泉 英 子 正 子 光 子 健 一 壽 子 宣 枝 礼 子 智 遊 |
2008.3.27 風呂 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
冬の空冷えた体に湯がささる 幸せが仄かに浮かぶ旅の風呂 露天風呂友と語らう雪見酒 照れながら月と混浴露天風呂 風呂場から父のおハコのお立ち酒 風呂場から孫と爺とのかぞえ歌 ささやかな老いの幸せ湯に浸る 父と子の風呂にぎやかな湯が溢れ 働いた汗を一番風呂が待ち |
初 恵 壽 子 義 忠 礼 子 健 一 正 子 英 子 宅 栄 智 遊 |
2008.2.28 辞書 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
辞書にない言葉が歩く日本語 柳会のお供にいつも辞書がいて 読めるのに書けぬ漢字の辞書をひく 度忘れが多くて辞書が離せない くたびれた辞書に夕陽が語りかけ まだまだと脳を耕す辞書を買う 辞書めくり脳細胞に風送る 辞書閉じて日記静かに今日たたむ 辞書二つ持って句会の席に着く |
健 一 礼 子 冨喜子 久仁子 宅 栄 英 子 正 子 壽 子 智 遊 |
2008.2.28 飾る |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
着飾って私の猫背しゃんと伸び 故郷へ飾る錦の色褪せて 飾らずに生きて満足かたつむり 飾り気はないが母さん光ってる 飾らない人で盃寄ってくる 食卓に花を飾って和む朝 四季折々野花を飾る無人駅 ウィンドウの飾った服が呼び止める 着飾って女おんなになっていく |
英 子 壽 子 健 一 久仁子 宅 栄 冨喜子 正 子 礼 子 智 遊 |
2008.1.24 酒 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
言いにくいことはお酒が言ってくれ 居酒屋は音痴も歌手も揃い踏み 何故かしら悲しい時に酒がある 冗舌な嘘も注いでるコップ酒 糸切れた凧です酒を飲んでます 久々の帰省の子と酌む新春の酒 嬉しい日苦手な席も酌みにゆく ブランデーひらりと女蝶になる 佐渡おけさ踊る二合の酒に酔い |
冨喜子 正 子 義 忠 初 恵 健 一 壽 子 英 子 宅 栄 智 遊 |
2008.1.24 追う |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
まだ夢を追って青春しています 追憶の彼方に亡母の知恵袋 亡母の歳越しても背には追いつけず 追いついたつもりの樹は高く 札束に追いかけられて目が覚めた 追うことを忘れた猫の平和ボケ 運命線追うてはみたが行きどまり 頂を追えば孤独な風ばかり 追う夢があるから昇る坂もあり |
宣 枝 壽 子 礼 子 初 恵 冨喜子 正 子 健 一 宅 栄 智 遊 |
2007.12.27 絵 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
清流に絵心写す里の秋 秋の色集めてえがく一人旅 乗りかけた絵筆鈍らす不意の客 紅差して自画像少し若返る 満ち足りてやがて疲れる美術館 自画像に幸福色を添えておく 絵はがきに一句書き足す旅の宿 里の絵に何時も畑打つ父母が居る あと三日今年も僕の絵が描けず |
義 忠 冨喜子 礼 子 初 恵 英 子 正 子 久仁子 壽 子 智 遊 |
2007.12.27 近い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
近いからついつい甘えお〜いお茶 近づいた年の瀬暦早まわり 近いけどスープはちょっと冷めてます 思い知る近い他人のありがたさ ご時世で安・近・短の家族旅 補聴器も近くの噂聞き漏らす 近道ばかり探す愚かな私です 近道をしてぬかるみに足とられ 近くまで来たと一升下げて友 |
健 一 初 恵 英 子 冨喜子 正 子 壽 子 礼 子 久仁子 智 遊 |
2007.11.22 鳥 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
亡父の墓心を洗う鳥の声 渡り鳥貸してあげよう三度笠 食べ頃を感知カラスが先回り 鳥になり飛んで行きたい好きな人 焼き鳥の串をタクトに浪花節 朝まだき百舌鳥の一声寒を裂く 焼き鳥の臭いが誘う赤のれん 名を知らぬ野鳥の声に和む朝 巣立ちゆくつばめに来年また来いよ |
冨喜子 光 子 初 恵 健 一 宅 栄 正 子 礼 子 英 子 智 遊 |
2007.11.22 笑う |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
辛い日も笑顔で耐えた夫婦道 白寿の老母ふとモナリザの微笑する 子供等の笑顔が疲れ吹き飛ばす 青空に笑顔はじける運動会 ねぎらいを笑顔がそっと注いでくれ 今日も又笑顔拾いに万歩計 何かある妻の笑顔の眩し過ぎ 朝市の野菜笑顔を添えて売り また爺が笑って負けたにらめっこ |
光 子 正 子 久仁子 宣 枝 宅 栄 礼 子 壽 子 英 子 智 遊 |
2007.10.25 お茶 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ほうじ茶を美味しく飲んでひと仕事 いっぱいの茶がわだかまり遠ざける 茶をにごすことも覚えた年の功 嬉しい日ゆっくり点てた茶がうまい 茶柱が昨日の二人許し合う 行き詰まる話へそっとお茶を出す 席を立つ合図のようにお茶を引く 茶柱に元気をもらう朝の靴 刈り終えた畦でくつろぐ午後のお茶 |
冨喜子 久仁子 光 子 英 子 壽 子 健 一 正 子 礼 子 智 遊 |
2007.10.25 豊か |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
千枚田豊かな稲穂こがねうち コマーシャル髪の豊かさ見せつける 誉められて心豊かになるひと日 豊かだと思う日のあり秋刀魚焼く 角砂糖とけて豊かなティータイム 豊かな髪自慢の祖父の若造り 孫抱くと豊かな風に包まれる ティータイム豊かな時間に身を沈め 豊作の稲田を走るコンバイン |
義 忠 礼 子 宣 枝 壽 子 冨喜子 初 恵 英 子 正 子 智 遊 |
2007.9.27 線 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
酒二合今日も節酒の線を越え 赤線を引いた亡母の農日記 罫線の字が曲がりだす老いの坂 思い出は線香花火と共に消え 地平線沈む夕日に明日託す 線路の音が子守唄です寝台車 行きつけの飲み屋視線で気をきかせ ローカル線お国なまりに囲まれる 点線のような記憶で二日酔い |
義 忠 壽 子 久仁子 光 子 スミ子 健 一 宅 栄 英 子 智 遊 |
2007.9.27 トンネル |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
いくつものトンネル車景こま切れに トンネルの出口へ怖い鬼がいる トンネルを抜け康成の雪に会う 人生のトンネルすぐにぬけられぬ 低迷期長いトンネル耐えてます 涼しげなトンネル作る木立かな トンネルを出ると優しい里の風 紅葉のトンネル秋をお膳立て トンネルに入り出口が見えぬまま |
初 恵 健 一 壽 子 宣 枝 清 泉 久仁子 英 子 宅 栄 智 遊 |
2007.8.23 愛 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
山登りほんに愛しい山野草 庭の野菜愛を注いで甘さ増す 宅急便愛情一杯里の味 愛妻弁当開けば旬が語りかけ ゆっくりと一日生きた顔洗う 五十年愛か惰性か夫婦道 コンビニの惣菜愛に飢えている 産声が家族の愛をひとり占め 愛一途あなた好みの色に咲く |
正 子 スミ子 久仁子 礼 子 宣 枝 壽 子 宅 栄 初 恵 智 遊 |
2007.8.23 飲む |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
乾杯をする度声が大になり 飲んだのは一言だけど胃が痛む 呑みこんだ言葉で友情続いてる ひとことを悔いて紅茶をかきまぜる 飲むほどに本音の破片せめぎ合う 飲み放題バンドゆるめてさあ飲むぞ 同窓会酒が昔を連れて来る 一匹の目刺しと飲んで妻の留守 飲むほどに酒が昔を連れてくる |
初 恵 礼 子 光 子 英 子 正 子 宣 枝 冨喜子 壽 子 智 遊 |
2007.8.2 芝生 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
すんだ空芝生の緑目に映える 芝生の青空の青さに溶けて行き 青芝に子を追うパパの日曜日 芝生の上に寝てふる里の母思う 渇水に庭の芝生も音をあげる 名園の芝生優雅に鶴が舞う 垣根越し隣の芝生きれい過ぎ 寝ころんだ芝生のぬくみ母の膝 若芝に寝転ぶ春の陽は仲間 |
文 子 初 恵 礼 子 健 一 久仁子 英 子 壽 子 冨喜子 智 遊 |
2007.8.2 投げる |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ジャンケンで負けて役員引き受ける ボール投げ隣の窓を突きぬける 何気なく投げた一言風に乗り 夕焼けの空に向かって愚痴投げる 退屈な余生へロマン投げ入れる 石一つ投げて波紋に踊らされ カーブすこし投げればうまくいったのに 笑い顔投げて受けとめ良い夫婦 お賽銭投げて願いが多すぎる |
宣 枝 スミ子 礼 子 冨喜子 英 子 壽 子 健 一 文 子 智 遊 |
2007.6.28 失敗 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
珍料理母はすまして珍命名 失敗の数だけ年も取って行き 失敗の汗は明日への力くれ 失敗の中から花芽顔を出す 失敗を軽いジョークに助けられ 立ち話ナベの煮物が焦げている 失敗の数だけ増える処世術 大げさに言う程失敗しておらず 失敗もあって人生愉快だね |
正 子 初 恵 文 子 健 一 英 子 義 忠 礼 子 光 子 智 遊 |
2007.6.28 痛い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
おしゃべりも痛みやわらぐ薬です 痛い膝撫でてゆったりしまい風呂 あちこちと痛い体は薬漬け 痛いとこ女の感が突いてくる お互いの痛み分け合う夫婦歴 男の料理始めたとこで指を切り 医師の前痛さ少々オーバーに 胃カメラに恋の痛みも覗かれる 桃剪定桃の傷みを聞きながら |
スミ子 英 子 冨喜子 初 恵 光 子 宅 栄 正 子 壽 子 智 遊 |
2007.5.24 花 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
菜の花が呼び出している畑仕事 鈍行で車窓の花を丸かじり うたた寝の窓に花びら舞いおりる バラ咲いて対話の窓が開かれる 流れる日気にせずいつも今が花 脇役に徹し可憐なカスミ草 働き蜂もきれいな花へ群れたがる さくら咲く春のブラウス蝶になる 花一輪夜の淑女の胸に咲く |
礼 子 正 子 冨喜子 宅 栄 初 恵 壽 子 健 一 文 子 智 遊 |
2007.5.24 軽い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
軽い気持ち誘ったコーヒー揺れている 軽いうわさが優しい風に飛ばされる 追い風をうけて軽がるペタル踏む 仲たがい軽いジョークで幕を引く 草萌えて散歩の足が軽くなる 軽すぎる財布豆腐と仲が良い 軽口を叩けば風が言いふらす 妻の振るタクト軽い日平和な日 旅に居て軽い財布と蝶になる |
初 恵 健 一 冨喜子 文 子 礼 子 正 子 壽 子 宅 栄 智 遊 |
2007.4.26 嘘 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
たんぽぽの綿毛が飛ばす軽い嘘 まっ直ぐな視線が嘘を暴き出す あなたの嘘ポッケに入れてついてゆく うわさ話嘘を含んで飛んでいく 嘘の無い生き方父の背が教え 嘘だとは知っていましたネックレス 客へお茶すこうし嘘もまぜて出す そっとしておきたい嘘が風に乗り 嘘ついた指切り小指がうずきだし |
壽 子 久仁子 冨喜子 文 子 初 恵 健 一 正 子 宅 栄 智 遊 |
2007.4.26 行列 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 |
行列の先にお目当てラーメン屋 片道切符終着駅の列にいる 不景気がプラカードの列歩ませる 閉店の行列無駄を買いあさり デパ地下の湯気の行列旬の味 開店の行列ビルをひとまわり 行列のうしろの方まで来ぬ粗品 行列のできるお店のかくし味 |
久仁子 初 恵 正 子 壽 子 冨喜子 宅 栄 健 一 文 子 |
2007.3.22 島 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
多島美を観光名所村おこし 雲海に浮かぶ山々島に見え ハワイ島揃いのアロハ蝶になる 梅の香に誘われ鈴の音島遍路 瀬戸の島遊覧船に揺れる春 シャボンダマ島から一つずつ消えて 降り立てば迎えてくれる島言葉 島は雨今日もひとりが出て行った 島一つ土産に欲しい瀬戸の海 |
正 子 久仁子 文 子 清 泉 壽 子 初 恵 礼 子 健 一 智 遊 |
2007.3.22 布団 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ふかふかの布団に母の愛詰まる 冬の陽をくるんだ布団風邪知らず 温かな布団に今日が癒される おしゃべりを宿の布団が聞いている 寝つかれぬ宿の布団が朝になり 一日終え布団に包む明日の夢 陽を入れた布団でやさしい夢を見る 干し布団部屋に持ち込む陽の匂い 太陽を布団に包み昼を寝る |
久仁子 冨喜子 壽 子 文 子 初 恵 正 子 光 子 礼 子 智 遊 |
20072.22 雪 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
雪深い大地に春の息吹きする 山里の雨戸を叩く雪の精 雪ダルマは母に良く似た顔があり さよならと上げたその手に雪が舞う しんしんと山眠らせて雪しきり 雪しんしんいろりが民話たぐり寄せ 温暖化を話す私と雪ダルマ 成人の振り袖に舞う細雪 雪だるま作った幼き日が恋し |
初 恵 文 子 義 忠 光 子 正 子 壽 子 健 一 英 子 智 遊 |
2007.2.22 風邪 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
鍬を持つ婆は風邪など寄せつけず クシャミ三回あわてて探す風邪薬 休肝日風邪をいたわる卵酒 母さんの風邪家中走りだす 玉子酒風邪もすっきり朝の膳 お互いの風邪をいたわる立ち話 文庫本一冊読めた主婦の風邪 マスクしてパントマイムの風邪の床 風邪三日妻に甘える卵酒 |
久仁子 光 子 宅 栄 正 子 文 子 初 恵 英 子 壽 子 智 遊 |
2007.1.18 癖 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
お互いに笑い合ってる忘れ癖 首を振る癖まで父に瓜二つ 孫の癖叱って気付く同じ癖 定年の靴早起きの癖取れず 癖のある字体が温い年賀状 筆跡の癖もうれしい年賀状 癖のある字だけど情にもろい人 手鏡を覗けば亡母の癖に逢う 飲めばまたもげ節演歌うたう癖 |
光 子 久仁子 壽 子 初 恵 宅 栄 礼 子 健 一 英 子 智 遊 |
2007.1.18 視線 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
親父の背いつか追い抜く子の視線 新調のスーツ視線を引きつける おだやかな視線が囲む新春の膳 ウィンドウ視線泳がすゼロの数 ショーウィンドウ女の視線動かない 倦怠期夫婦の視線も冷めてくる 志を抱いた視線春に駈け 寝たきりの視線に青い空を入れ 君の視線からんで春の陽がうらら |
初 恵 光 子 壽 子 正 子 英 子 健 一 宅 栄 礼 子 智 遊 |
2006.12.21 音 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
難聴でもあなたの心音響きます 風鈴の音とビールはよく似合う 音立てずノドに押し込む盗み酒 せせらぎの音が澄んでる里の秋 土いじる手から季節の音がする 棟上げの槌音空を一人占め どの音もリズムが狂う日曜日 デパートに生活の音を買いに行く まな板のリズムで朝が動きだす |
正 子 文 子 義 忠 健 一 冨喜子 壽 子 光 子 初 恵 智 遊 |
2006.12.21 起きる |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
七転び八起き余生は晴れにする よい夢を見た朝起きるのが惜しい やり直しの起点を記す冬の地図 七転び八起きでやっと立てそうだ 起きかけて又もぐり込む寒の朝 味噌汁の匂いが起こす眠たい目 八起き目に起きたら銭を掴むだろ 八起きした節目に小さな花咲かす 味噌汁の匂いが起こす寒い朝 |
壽 子 久仁子 宅 栄 正 子 礼 子 英 子 健 一 初 恵 智 遊 |
2006.11.30 稲刈り |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
有機農味が自慢の稲を刈る 稲刈りを終えて紅葉の客となる 稲刈りだ稲穂が歌う応援歌 稲刈りを終えて案山子のドック入り 稲刈りの風に祭りの笛が鳴る 稲刈りは主役であったと鎌がいう 稲刈りの手を和ませる赤とんぼ 稲刈りへ一家総出のにぎりめし 刈り終えた稲田へ秋の陽が斜め |
久仁子 正 子 文 子 宅 栄 初 恵 光 子 冨喜子 礼 子 智 遊 |
2006.11.30 飾る |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
飾らない人柄心が通じ合う 花一輪飾って日々をいとおしむ 着飾って心の隙をカバーする ボランティアの老いに教わるしめ飾り 飾らない友でやさしい風が吹く 庭に咲く花を飾って友を待つ 父と子のお飾り作り福をよぶ 年金が細りお飾り小さくなり 応接間造花を飾る不意の客 |
壽 子 光 子 宅 栄 礼 子 初 恵 久仁子 文 子 英 子 智 遊 |
2006.10.21 デパート |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
デパートの袋で届く土産品 デパートめぐり唯一楽し喜寿の坂 デパートガールの美人にうっとりスーツ買う デパ地下で惣菜買って一人酒 目の保養デパートめぐる歩が軽い デパ地下を歩くと財布空になる デパートの食堂ちょっぴり見栄をはる デパ地下で助けてもらう夕餉膳 デパートの食堂妻とデートめき |
初 恵 スミ子 健 一 久仁子 正 子 英 子 光 子 礼 子 智 遊 |
2006.10.21 遊ぶ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
余生なお遊び上手な独楽めざす 七十路坂越えても遊びまだ止まず 自然との遊び知らない子供達 妻の手で遊ばれているのかも知れぬ 生き甲斐に野菜と遊ぶ定年後 遊ぶこと忘れた子供の塾通い キャンパスに遊び心の彩一つ 遊ぶ子がなくてブランコ風に乗る 遊び下手七十路坂やっぱり鍬がよい |
壽 子 冨喜子 スミ子 健 一 英 子 正 子 初 恵 礼 子 智 遊 |
2006.9.21 ビール |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
バーベキュービールで乾杯のどが鳴る 自分へのご褒美今夜も生ビール ビール党赤ちょうちんを盛り上げる あの人の噂ビールがしゃべり出し 誤作動を起こした妻の缶ビール 乾杯のジョッキ職場と違う顔 何かある上司がビールつぎにくる 旅先のビールほんのり妻を染め 働いた汗へビールが溶ける幸 |
文 子 礼 子 久仁子 光 子 宅 栄 初 恵 正 子 英 子 智 遊 |
2006.9.21 飛ぶ(跳ぶ) |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
跳び箱の元気な声が飛んで秋 一匹の飛ぶ蚊に一夜悩まされ 一匹の飛ぶ蚊を捜す独り者 自分史をちょこちょこ飛ばし書いてます 飛翔する女ひそかに羽を織り 街を翔ぶ妻にリモコン役立たず バーゲンに主婦の財布が飛んでいく 跳んだ娘が都会の匂い持ち帰る 飛ぶことを忘れた鳥が篭で老い |
文 子 正 子 スミ子 清 泉 初 恵 宅 栄 礼 子 英 子 智 遊 |
2006.8.17 髭 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
無精髭剃って彼女と初デート 子供好き好々爺は髭自慢 朝寝坊トイレの中で髭を剃る いい気持ちパパのお髭が頬撫でる 影法師お前に何故か髭がない 貫禄も肩書きもない髭を持ち 肩書きも髭も落として趣味に生き 卒業式髭の先生泣いていた 無精髭伸ばし活字に飢えている |
スミ子 正 子 久仁子 清 泉 健 一 光 子 初 恵 文 子 智 遊 |
2006.8.17 動物園 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
都合で割愛させていただきます。 少子化に閑古鳥鳴く動物園 動物園のチンパンジーに見られてる 動物園で親子の絆教えられ 孫と行く動物園へカメラ提げ |
スミ子 礼 子 健 一 智 遊 |
2006.7.20 土 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
温かい土に抱かれて芽は育つ 土の香を嗅ぎつつ植える夏野菜 父の鍬土が落とされかけてある ふる里の土の匂いの荷が届き 農に生き土の匂いに自負がある 紫陽花へ話しかけてる梅雨の土 朝市の土付き野菜光ってる 耕した土に夏草牛耳られ 土一升金一升へ種を蒔き |
礼 子 久仁子 文 子 初 恵 正 子 健 一 英 子 宅 栄 智 遊 |
2006.7.20 走る |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
こわい夢足がもつれて走れない 一目散走って一息生きている にわか雨洗濯物に走らされ 定年の朝走るのはもうよそう 一歩先走れば違う風に会い 走らずにゆっくり歩けとかたつむり しんがりを走りまあるく生きて行く 走ることやめて回りが見えて来た 一生を走りゴールがまだ見えず |
冨喜子 正 子 英 子 清 泉 宅 栄 健 一 壽 子 礼 子 智 遊 |
2006.6.15 妹 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
妹は甘え上手の拗ね上手 妹が一人占めする母の膝 妹が食べてしまったサクランボ 妹で良かった姉の背が見える 骨のある妹じわりと攻めてくる 妹が親の良いとこすべて取り 妹から母さん奪う風邪を引き 三姉妹寄れば主人の棚下ろし 妹を産んでと母を困らせる |
壽 子 初 恵 英 子 正 子 健 一 光 子 宅 栄 礼 子 智 遊 |
2006.6.15 吹く |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ティータイム幸せの風吹いてくる 跡継ぎのない葡萄畑風が吹く 母さんが座れば温い風が吹く 吹くほどに元気をもらう鯉幟 八十路坂春の息吹きに蝶となる シャボン玉親子の笑顔天に吹き 吹き消した筈の火種がまだ匂う 追い風が吹いてるうちに種を蒔く 北風が吹いてころ柿味を増し |
文 子 冨喜子 正 子 礼 子 壽 子 宅 栄 初 恵 健 一 智 遊 |
2006.5.18 宿 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
湯を求め安近楽の宿さがし 腰痛を温泉宿に置いてくる 生きるとは永遠に旅立つ仮の宿 湖畔の宿焼きたい手紙一つ持ち 露天風呂解き放たれて旅の宿 ストレスを捨ててきました旅の宿 波の音BGMに更ける宿 旅先で宿の枕にいじめられ 傷心を癒す湯の宿一人旅 |
光 子 冨喜子 初 恵 壽 子 正 子 健 一 英 子 礼 子 智 遊 |
2006.5.18 ゆっくり |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ゆっくりと聞けばゆっくり喋りだす バリウムがゆっくりノドを通ってる 満ち足りて時計ゆっくり時刻む ゆっくりと別の時計で寺めぐり ゆっくりと茶を点て昼のワイドショー お日様をふとんに入れて朝寝する ゆっくりと歩けば風が柔らかい 毛細管ゆっくり開くしまい風呂 後がない人生ゆっくり走ろうよ |
健 一 義 忠 壽 子 正 子 礼 子 冨喜子 英 子 初 恵 智 遊 |
訃報:川柳仲間のこつるさんが急逝されました。旅行に行くバスを待っていて急性心不全を起こしたとのこと。 ついこの前、花見吟行会のことでお話したばかりなのに大変驚きました。 彼女は高齢ではありましたが、とても勉強熱心で上品で可愛く楽しい人でした。 私もあのように年を重ねることができたらとひそかにあこがれていました。 1年ほど前にご主人を亡くされましたが、それはそれは仲の良いご夫婦でした。 ご主人が患っておられる時も看病しながら、ベッドの横で読書をされていたのが昨日のことのようです。 また清心女子大学へも数年間、源氏物語の勉強に行っておられたとか・・・ 彼女の句は、発想が豊かで感性も素晴らしかったと思います。 3月の天位になった「雨垂れがポツポツ食べる庭の石」という句は、 歴史を重ねた庭石が雨によって浸食される様を詠んだものですが、 雨垂れが石を食べるという発想は並みのものではありません。 まだまだ彼女と川柳を楽しみたかったのですが、非常に残念でなりません。 しかし、彼女は天国でも川柳仲間を見つけ、更に良い句をひねっておられることと思っています。 ここに謹んでこつるさんのご冥福をお祈りいたします。 |
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2006.4.20 アルバム |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
年毎に写真写りが怖くなり アルバムを開けば青春駆け抜ける 初恋をアルバムだけが知っている 二つ三つロマンスもある写真帳 アルバムの亡母にちょっぴり愚痴こぼし アルバムを広げて幼き日を拾う アルバムの仲間はみんないい顔だ アルバムからはみ出すような笑い顔 アルバムのそこ青春の日のドラマ |
礼 子 壽 子 故・こつる 初 恵 冨喜子 正 子 健 一 文 子 智 遊 |
2006.4.20 勉強 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ライバルがいて勉強に熱が入る ウィンドウ勉強しますと店主来る 勉強をした結果がでましたさくらさく 勉強という字がだんだん遠くなる 勉強せよと言えば黙って居なくなる 勉強の本が睡魔を呼んで来る 勉強をした娘の涙サクラサク 長生きの勉強会が燃えている 勉強を怠けた報いただの人 |
正 子 故・こつる 冨喜子 壽 子 健 一 礼 子 英 子 初 恵 智 遊 |
2006.3.16 漫画 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ギャグ漫画に笑って脳が若返る 教科書が漫画に机乗っ取られ 四コマ漫画今日も世相をうまくつき 満員電車隣の漫画のぞき読み 粗忽さも似ているサザエさんが好き 漫画のような夫婦でとても仲がいい ストレスを漫画喫茶で癒される 四こまに暮らしのヒント落ちていた のらくろで育ちさざえで一人立ち |
英 子 礼 子 宅 栄 冨喜子 こつる 健 一 町 子 壽 子 智 遊 |
2006.3.16 食べる |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
熱下がり次は食べよと母の声 胃薬をバッグに湯の宿グルメ旅 共稼ぎカップラーメン分けて食べ 腹一杯食べてストレス丸洗い 食べ残しは罪と無理する皮下脂肪 魚の骨図鑑のような食べ上手 赤ちゃんに食べさす親も口をあけ 鍋囲み話もおいしく食べている ダイエット明日からすると食べている 雨垂れがポツポツ食べる庭の石 鎌や鍬持てて三度の飯うまし |
久仁子 清 泉 義 忠 壽 子 英 子 初 恵 光 子 礼 子 町 子 こつる 智 遊 |
2006.2.16 帽子 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
マジックで鳩が飛び出す帽子かな 綿帽子かぶって椿の朱が冴える お揃いの帽子が弾むフルムーン 女神にも見えるやさしいナース帽 陽溜りに帽子が揺れる笑い声 浮き浮きと花便り待つ春帽子 暴投を詫びる帽子に風やさし 草取りの父の帽子に陽は長く 春の野を駈ける帽子が帰らない |
町 子 健 一 正 子 礼 子 こつる 壽 子 宅 栄 初 恵 智 遊 |
2006.2.16 大切 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
大切に育てた梅が今朝一輪 大切な話は酒を呑んでから ポケットに温めている夢ひとつ 大切な話中身は置いてくる 大切な味の付け方母のメモ 大切なお札はいつも出張中 大切な話しもつれてお茶入れる 大切なモラル昭和に置き忘れ 大切な娘に鈴をつけて無事 |
正 子 健 一 英 子 宅 栄 義 忠 富喜子 礼 子 壽 子 智 遊 |
2006.1.19 寺 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
喧騒を逃れて寺の石畳 名物の精進料理が呼ぶツアー 説法にユーモア満ちてなごむ寺 寺の門くぐり菩薩の顔になり ビルの寺四角にこだまする読経 法話きき和む心の寺めぐり 捨て切れぬ煩悩抱き寺巡り 柿の実をひとつ残して寺は冬 鐘をつく善男善女の列に居る |
正 子 こつる 英 子 壽 子 宅 栄 文 子 初 恵 健 一 智 遊 |
2006.1.19 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
野仏が迎えてくれる散歩道 遠い日の夢に歩幅が小さくなり つい歩く帰りの難儀考えず いい風と会えた街角ウォーキング 遅くてもまっすぐ歩けと亡母の声 ゆっくりと歩いて明日が見えてくる 歩道橋降りたらバスに逃げられる 秋の色集めて歩く野良の道 休まずに歩く明日の夢を追う |
文 子 初 恵 こつる 宅 栄 礼 子 久仁子 英 子 健 一 智 遊 |
2005.12.15 釘 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
日本晴れ棟上式の釘の音 リズミカル日曜大工釘の音 釘一本抜けて心のたがゆるみ 釘を入れ煮た黒豆の艶やかさ 食べすぎに釘をさしてるバイキング 釘すこし錆びたが打たれ強くなる やや多め日曜大工のパパの釘 友からの釘煮が初春を連れて来る 妻に釘打たれ宴会控え目に |
冨喜子 こつる 初 恵 久仁子 英 子 健 一 壽 子 正 子 智 遊 |
2005.12.15 電話 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
携帯のメール打つ手の早いこと お誘いの電話の声に陽が温い お早うに笑顔もそえた電話口 少年の孤独が見える電話口 電話ベル冷たく響く愛終わる ケイタイが追い出す町の赤電話 では又ねと言いつつの長電話 旅先の妻は電話もしてこない 悪友の電話が誘う屋台酒 |
正 子 こつる 冨喜子 初 恵 健 一 壽 子 光 子 英 子 智 遊 |
2005.11.17 秋 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
障子貼り終えてもみじの赤が燃え 秋空とクロスしている里の道 気紛れな足に誘われ紅葉狩り 人恋し秋の夜長に長電話 いも掘りの園児笑顔が土まみれ 年毎に着ぶくれていく秋の暮 秋の風私詩人になって旅 栗ご飯秋を隣へおすそわけ 晩酌がこんなにうまい秋深む |
宅 栄 健 一 こつる 正 子 初 恵 礼 子 英 子 光 子 智 遊 |
2005.11.17 幸せ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
衝動買い幸せ気分が背を押す 白寿の宴喜寿と古希との子が集う 幸せを願い朝日に手を合わす あれば良い幸せ行きのバス乗り場 生き甲斐を幸せに替え今日も暮れ 幸せと一緒に浸るしまい風呂 幸せが紙をはみ出す初硯 朝の陽が今日の幸せ温める 食べて寝て動け幸せかもしれず |
壽 子 冨喜子 久仁子 照 明 こつる 英 子 宅 栄 礼 子 智 遊 |
2005.10.20 糸 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
絡まった糸を辿れば深い溝 おままごと孫とお話糸電話 糸こんにゃくダイエットには良いレシピ もつれ糸クイズのようにといていく しつけ糸茶会の席で取り忘れ 糸切れて別れ話が近くなる 綻びを縫う糸求め旅に出る 張りつめた糸コーヒーに溶けてゆき 夫婦の糸からんで解けて太くなり |
礼 子 こつる 富喜子 光 子 町 子 健 一 英 子 初 恵 智 遊 |
2005.10.20 素直 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ありがとう素直に言えば風光る わが心素直にさせる母の風 寝ころべば素直さくれる秋の空 墓まいり素直になれる里の秋 頬撫でる素直な風に背を押され お互いが素直になれず隙間風 生き方を素直に変えて軽くなる 褒められて素直に嬉し秋の空 素直にもなれず依怙地になって老い |
初 恵 礼 子 壽 子 文 子 こつる 英 子 光 子 正 子 智 遊 |
2005.9.22 岩 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
石清水ソーメン流し長い列 まるで岩脳の乾燥止まらない 露天風呂岩に腰掛け月見酒 蝉しぐれ岩にこだます山の宿 森の中岩はなんにも喋らない 岩陰の野菊に和む山歩き 渇水のダム岩肌をさらけ出し 幾度か火の輪をくぐり夫婦岩 まだ岩になれないままに馬齢積み |
光 子 こつる 礼 子 冨喜子 健 一 英 子 初 恵 宅 栄 智遊 |
2005.9.22 美人 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
美しい文字ですきっと美人だよ すれ違う美人がくれた朝の風 もう一度見たい美人になった夢 香水を追うと美人につきあたる 美人願望鏡は妥協してくれず 女心なぜか美人と距離をおく いつの間に美人になった隣の娘 遺伝子に美人の種を入れ忘れ 美人ではないが三食作る妻 |
英 子 宅 栄 久仁子 健 一 礼 子 正 子 初 恵 壽 子 智 遊 |
2005.8.23 時計 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
時計不要お日様相手の農の日々 古時計まだ狂わないネジを巻く ゆっくりと時計がまわる山の宿 疎開した柱時計が生きつづけ 猛暑にも弱音を吐かぬ花時計 すすませておいた時計に大あわて 梅雨明けの暑さで狂う腹時計 独り居の時計孤独の音刻む 待つ人にゆっくり回る花時計 少しづつ誤差がでてきたペア時計 飲み過ぎた夕べを時計に叱られる |
冨喜子 健 一 文 子 こつる 壽 子 照 明 久仁子 英 子 礼 子 宅 栄 智 遊 |
2005.8.23 根気 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
根気よく草と格闘婆の意地 根気よく続けて山へたどりつき 二枚目の舌も疲れたティータイム ストレスも根気も捨てた大昼寝 曲がり角根気の風が揺れ動く 熱帯夜根気も意地も転んでる 根気なくくチャンスを逃してばかりいる 万歩計根気で攻めるダイエット あくこともなしに続いている日記 この猛暑根気も鈍る喜寿の畑 雑草の根気踏まれても踏まれても |
冨喜子 光 子 宅 栄 壽 子 正 子 初 恵 健 一 礼 子 照 明 英 子 智 遊 |
2005.7.21 お金(マネー) |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
追いかけるほどにお金は逃げて行く 辛い日はポケットマネーで息をする 身の丈に合う年金で夢を追う ほどほどのお金が描く明日の夢 大金に追いかけられて逃げる夢 農機買う金にいとめをつけぬ人 計画を立てれば余計足りぬ金 ウィンドウの値札のゼロを数えてる 金無いが孫に囲まれ日々平和 |
スミ子 正 子 壽 子 初 恵 冨喜子 照 明 こつる 英 子 智 遊 |
2005.7.21 細い |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
細い目がなくなる笑顔孫が来た 細いねと言われた頃が懐かしい 鍵っ子が夕陽背中に細い影 しあわせなダイヤが輝る細い指 同じ柄着こなし上手細く見え 細い目が三日月になり許し合う 細い目をなお細め見る0の数 細く長く生きるつもりの畑仕事 見た目には細いが太い肝っ玉 |
こつる 町 子 健 一 文 子 初 恵 正 子 壽 子 照 明 智 遊 |
2005.6.16 切手 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
携帯に押されて切手伸び悩む 夢二が好きで褪せた切手を持っている 電子メールに押され切手の顔薄れ 花切手貼って出しましょあの人に 言いつくせぬ思い切手に運ばせる 初夏の風切手が踊りいい返事 彼に出す手紙は切手も選びます 旅先で風も届けと切手貼る 旅先の笑顔を入れて切手貼る 良い便り切手不足も気にならず 逆さに切手貼った手紙にある怒り |
義 忠 健 一 宅 栄 英 子 壽 子 初 恵 礼 子 正 子 こつる 光 子 智 遊 |
2005.6.16 耐える |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
愛用の帽子もきっと耐えている 耐えるとはストレスばかり溜まります 北国の雪に耐えてるふきのとう 農われは耐えることにはなれている 耐えた山ひとつひとつに泣き笑い 風ぴたり止むまで噂胃で泳ぐ 耐えたのは昔のことよ妻は蝶 耐えたこと見せぬ女のダンス靴 昭和一桁耐えることには慣れて老い |
健 一 町 子 文 子 照 明 初 恵 宅 栄 正 子 英 子 智 遊 |
2005.5.19 泣く |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
泣き言は言わぬ約束風とする 幼子の泣き声絶えて過疎の里 さくら咲く泣いているのはもうよそう 跡継ぎのない過疎の田へ風が泣く 泣き叫び赤子もしてる自己主張 説教のかわり泣きたいだけ泣かせ 泣くことも笑いにかえて二人旅 思い切り泣いて明日を晴れにする 泣いて勝つ孫にまたも負けてよし |
初 恵 礼 子 健 一 宅 栄 こつる 照 明 文 子 英 子 智 遊 |
2005.5.19 ネクタイ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
ネクタイをはずして息子家業継ぐ 定年後ノーネクタイが板につき ネクタイをはずせば世間広くなる ネクタイを絞めてきゅうくつそうに居る ノーネクタイの首が淋しい顔になり ネクタイがあくびしている終電車 ネクタイを解いて自分を取り戻す ネクタイがふと聞く首のきしむ音 ネクタイをほどいて妻の手に還る |
光 子 久仁子 健 一 照 明 初 恵 英 子 礼 子 宅 栄 智 遊 |
2005.4.21 おやつ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
酒やめた分だけおやつ多くなり 友等来ておやつ持ち寄りミニパーティ バス旅行笑顔におやつのおまけ付き おしゃべりとおやつ満載花の旅 たまに会う祖母はおやつで孫をつり 太りすぎおやつ止めても痩せられず ワイドショー見ながらおやつ主婦の昼 宿題がすんでおやつがおいしいな サイクリングおやつが踊る青い空 今日もまたおやつに負けたダイエット おやつタイム妻のケーキに一番茶 |
照 明 光 子 初 恵 壽 子 正 子 久仁子 礼 子 健 一 文 子 英 子 智 遊 |
2005.4.21 自慢 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
歌自慢自分の声に酔いしれる 自分には自慢が無いと自慢する 酔えばまた戦地へ行ったあの話 ペアルック少し自慢も見え隠れ 銭太鼓自慢のバチが宙にとび 自慢ばかりして人情がうすくなる 物忘れ気にせず元気だけ自慢 ころころと自慢の舌はよく回る 自慢話に冷たい風が吹きける 自慢して自慢が返る電話口 自慢などないが自慢の孫がいる |
光 子 義 忠 照 明 あつ子 冨喜子 健 一 初 恵 正 子 礼 子 英 子 智 遊 |
2005.3.17 塔 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
人間不信カラス塔から出て来ない 鉄塔の静かに風の夢を聞く 塔の屋根鳩の夫婦はラブソング 五重の塔おぼろ月夜の古都の夜 強風に耐えて生き抜く父の塔 旋風五重の塔も肩竦め 少子化が象牙の塔に風を入れ 高い塔ほどに厳しい風当たり 塔上のカラスに見おろされている 父の背に錆びた頑固な塔がある ピサの塔のごとく倒れぬ父の塔 |
健 一 壽 子 正 子 文 子 英 子 コツル 宅 栄 礼 子 照 明 初 恵 智 遊 |
2005.3.17 想(思)い出 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
風化した思い出夢の中よぎる ローカル線思い出一つ消えていく 思い出は自分一人の処方箋 プライドを思い出にして旅に出る 擦り切れた思い出だけど抱き続け 思い出を袂に入れて老いに入る 亡父の背思い出させる里の風 アルバムを開けばふっと遠い風 二杯目のお茶に思い出つぎ足され 思い出の鼓動が春を駆け抜ける 幼き日の想い出母の背の温み |
初 恵 文 子 正 子 健 一 コツル 冨喜子 礼 子 英 子 宅 栄 正 秀 智 遊 |
2005.2.17 カレンダー |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
日めくりの言葉に心温かく カレンダー趣味の予定でうまる幸 母さんのメモ踊ってるカレンダー 又悔いを残す師走のカレンダー カレンダーと小さな旅のプランねる 春暦心ときめき旅に出る 休肝日妻が指定のカレンダー カレンダー一枚づつの風の彩 カレンダーに尻叩かれる農事メモ |
光 子 礼 子 英 子 正 秀 壽 子 文 子 宅 栄 初 恵 智 遊 |
2005.2.17 「明るい」 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
この先は明るく歩む凡夫婦 病室に明るい声の退院日 宮様の明るいニュース幸祈る マタニティー明るい土産さげてくる 福の神明るい家庭長居する 初日の出明るい明日が見えるよう 花の芽にほっこり春の明るい陽 明る過ぎてちょっと気になる今日の妻 看護師の明るい笑顔熱も引き カーテンを替えて明るい風を抱き 孫たちの明るい声が跳ねて春 |
英 子 健 一 光 子 正 秀 スミ子 文 子 正 子 壽 子 冨喜子 宅 栄 智 遊 |
2005.1.20 読書 |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
読むつもり睡魔が襲う秋の夜 読書離れ危惧する親もテレビ狂 横文字にいじめられつつ本を読む 本を読みつい居眠りの春日和 わたくしを試す聖書を読んでいる 読書する絵本の中で子は眠り 新札でにごりえ読ます一葉忌 読書する暮らしに薬味欲しいから 図書館の隅に憩いの指定席 読み終えた本さわやかな風が抜け スリラーに夢中一駅乗り過ごす |
正 子 久仁子 冨喜子 文 子 健 一 正 秀 壽 子 英 子 初 恵 宅 栄 智 遊 |
2005.1.20 ケーキ |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
つい食べたケーキのカロリーどうへらそ ショートケーキに茶を点て老いのクリスマス 午前様のケーキも箱で酔いつぶれ ショートケーキで女しあわせ色になる ケーキ切る手元に視線火花散る 喫茶店ケーキの思い出遠き日々 ふっくらと焼けるケーキに今日が満ち 少年の夢へ大きなケーキ買う ケーキ切る母のナイフへ散る火花 |
光 子 礼 子 宅 栄 英 子 冨喜子 文 子 正 秀 健 一 智 遊 |
200412.16 おせち |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
我家流おせちの味で年が明け レシピ通り嫁のおせちに初春の風 コンビニのおせちで一杯淋しい日 ふるさとでおせちが帰省待っている 幸せをおせちに詰めた母の味 おせち料理主婦休業の寝正月 おふくろのおせちの味も洋風化 虹色の夢もおせちに添えて食べ アレンジのおせちに母の味が生き 笑い声おせちに詰めて初春迎え 新妻のおせちに屠蘇の盃めぐる |
正 子 初 恵 健 一 五 子 文 子 正 秀 照 明 礼 子 宅 栄 英 子 智 遊 |
2004.12.16 そっくり |
佳 作 人 位 地 位 天 位 軸 吟 |
そっくり貰った遺産時々足枷に 隔世遺伝亡父そっくりに孫を見る 気がつけば親そっくりの癖を持ち 似なくともよいのにそっくり母のくせ 母と娘の声そっくりに電話口 お師匠にそっくりなのは衣装だけ 温もりのないそっくりな家並び よろしくと年金そっくり嫁に出し 忘年会上司の真似で受けに受け いつの間にか似たもの夫婦となって老い 亡父の性質(たち)そっくり真似て酒が好き |
壽 子 正 秀 英 子 光 子 礼 子 冨喜子 初 恵 義 忠 宅 栄 照 明 智 遊 |
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